コロナ禍の韓国では中間層の消費が激減、政府からの支援もなく貯蓄傾向が顕著に

韓国では2020年の新型コロナウイルス発生以降、消費を大幅に減らした層は中間層であることがわかった。勤労所得や事業所得など、市場で稼ぐ所得は大幅に減ったことに加え、政府のさまざまな支援対象からも外され、財布の紐をギュッと締め、支出を減らすことに集中している。

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韓国開発研究院(KDI)のナム・チャンウ研究委員とチョ・ドクサン展望総括が作成した、「コロナ19経済危機と家計消費」報告書によると、2020年所得上位の40~60%にあたる第3分位世帯の消費支出は6.8%減少。これは全世帯の支出減少率である2.8%の2倍を超える水準だ。所得上位20~40%にあたる第4分位世帯の消費支出減少率は4.2%、所得下位20~40%の第2分位世帯は3.3%でその後に続いている。

所得上位20%までの富裕層の消費は0.8%だけ減少するも、所得下位20%である貧困層の消費は2.8%増加している。このようにコロナ禍で富裕層は大きな影響を受けておらず、所得基準で中間層に分類される世帯のみが、昨年の消費減少を主導している計算となる。

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このように支出の増減率が変化した理由として、専門家らは政府の災害支援金を取り上げた。所得下位20%の第1分位世帯の場合、勤労所得と事業所得、財産所得を合算した市場所得が昨年は6.1%減少していたが、政府の災難支援金などが反映された公的移転と税金など、非消費支出まで考慮した可処分所得は7.5%増えている。貧困層はコロナの影響を最も大きく受けたが、政府の支援金によりむしろ平均所得が増え、支出へ回せるようになったことが背景とみられている。

これに比べ、中間層である第3分位は市場所得が2.7%減少し、可処分所得は2.0%増にとどまり、第4分位も市場所得が1.2%減少した状況で、可処分所得は2.2%増となった。中間層の第3分位と第4分位は、全体世帯の平均可処分所得の増加率である3.3%に及ばなかった。

特に第3分位は、可処分所得の増加率が5分位の中で最も低かったとされている。新型コロナ以後、中間層の所得が急減すると、経済全般で財テクに対する関心が高くなり、生活の中の小さな消費も控える傾向にあるようだ。

KDIのナム・チャンウ研究委員は「中間所得階層である第3分位と第4分位が、新型コロナによる実質的な衝撃と不確実性に最も大きく晒された」とし、「中間層はこうした状況において消費支出を大幅に減らし、最悪の状況に備えて貯蓄を増やす方式で対応した」と分析している。

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