未成年女性などのわいせつ映像を制作し、SNSに配布した“n番の部屋”事件を捜査中の警察が、チャットルーム“博士の部屋”に参加した「ニックネーム」1万5000件を確保したことがわかった。
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警察は、“n番の部屋”事件で最も悪質とされる“博士の部屋”を運営したチョ・ジュビン(24)から確保したデジタル証拠資料などをもとに、加担した共犯者を追い、会員の個人情報を把握するために注力している。
ソウル地方警察庁の関係者は3月30日、「“博士の部屋”に関連する複数の資料を収集した結果、現在までに確保した(チャットルーム参加者の)ニックネーム数は、重複を除くと1万5000件」と述べた。
“博士の部屋”への参加者の規模については、「捜査の進行段階に応じて差があり、正確に言うのは難しい」としながらも、「有料会員だけでなく、関連するグループ参与者をすべて合わせた数字」と説明した。
警察は2019年9月から“博士の部屋”に関連した捜査を行い、チャットルームに参加したニックネーム情報を1つずつ把握してきたという。それを持って、個々人の情報を特定する作業を進行中だ。
警察は多数の有料会員を特定しており、近いうちに彼らへの押収捜索など、強制捜査の手続きに入る計画だ。
警察関係者は、「(“博士の部屋”以外でわいせつ映像が共有されている)別のチャットルームがある可能性もあるので捜査を続けている」とし、「犯罪事実が特定でき次第、立件などの捜査手続きを行う計画だ」と明らかにした。
警察は、“博士の部屋”運営者であるチョ・ジュビンの自宅などを家宅捜索する過程で確保した資料を分析することにも注力している。
チョ・ジュビンの携帯電話9台をはじめ、ノートPC、リムーバブルストレージデバイス(USB)などのデジタル関連資料20件を確保した状態だ。
警察関係者は、「チョ・ジュビンの自宅から押収した携帯電話7台の分析を終えたが、現在までに意味のあるデータは見つからなかった」とし、「犯行前に使っていたり、初期化されたりしていたものもあった」と述べた。
警察は、チョ・ジュビンが最近まで使用していたと推定される携帯電話2台も分析している。そのうち1台はチョ・ジュビンが所持していたもので、もう1台は自宅に隠していたものだという。
警察関係者は、「チョ・ジュビンは自らの犯罪事実は認めたが、携帯電話を開くパスワードは陳述していない状況」とし、「さまざまな方法でロックを解除しようと努めている」と明らかにした。続いて「(ロック状態が)解除されれば、意味のあるデータが出てくると期待している」と付け加えた。
ロック解除しようとしている携帯電話2台は、iPhoneと韓国大手企業の最新機種と確認された。
また警察は、チョ・ジュビンの追加の犯罪事実を見つけようとしている。
これまで確認された犯罪以外にも、チャットルーム内でわいせつ動画を共有したり、チョ・ジュビンの犯行に加担したりした者に対しても積極的に捜査している。
チョ・ジュビンとともに逮捕された共犯者の一部に対しても、今週中に拘束延長申請について決定する方針だ。
一方で警察は、チョ・ジュビンの犯罪収益に関しては「所有する車はないと把握しており、賃貸住宅に住んでいたように、豪奢な生活をしていたようには見えなかった」と説明した。
現在、韓国で大問題となっている“n番の部屋”事件とは、女性を脅して撮影したわいせつ映像や画像を数十万人がSNSで共有していた事件のこと。組織的なデジタル性犯罪で、20万人以上の有料会員がいたという。被害女性は未成年者を含む70人以上に上る。
“博士の部屋”というチャットルームを運営していたチョ・ジュビンは、アルバイトなどと称して女性を募集し、応募時点で個人情報や顔が映ったわいせつな画像を受け取り、それを口実に脅し、さらに過激な動画を撮影させたとされる。
チョ・ジュビンはすでに逮捕され、3月25日に検察に送致された。
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