アカデミー賞『パラサイト』の“キャストこぼれ話”とポン・ジュノ監督の「オタク力」

2020年02月13日 映画

「ドクフ」を漢字にすると「徳厚」となるのだが、「徳が厚い」という意味ではない。

日本でいうところの「オタク」を意味する造語「オドックフ(オドックともいう)」が変化した言葉で、ポン・ジュノ監督は幼い頃から“映画トクフ”だった。

韓国メディアの過去のインタビュー記事を見ると、学生時代は映画雑誌『スクリーン』や『ロードショー』が愛読していたという逸話もある。

ポン・ジュノ監督よりも1歳年下の俳優イ・ビョンホンも、学生時代は『スクリーン』や『ロードショー』を愛読していたと話していたが、ポン・ジュノ監督も日本の映画雑誌を楽しみにしていた映画少年だったのだ。

また、ポン・ジュノ監督は“漫画トクフ”としても有名だ。

ポン・ジュノ監督

延世(ヨンセ)大学時代は学内報に連載を持っていたほどの腕前で、その画力を生かした繊細なコンテは“ポンテイル(ポン・ジュノ+ディテール)”と呼ばれている。

「ドクフ」=夢中になれるような趣味を持つ人

そんな映画オタクの少年がカンヌ映画祭の最高賞であるパルムドールを受賞しただけではなく、アカデミー賞で作品賞まで手にしたことで、韓国では今、ポン・ジュノ監督を「成功したドクフ」と呼ぶようになった。

「世界的な巨匠たちを目の前に、ドクフ・モード全開のポン・ジュノ監督が賞に輝いて痛快」といったニュアンスの書き込みも多く見受けられている。

かつて韓国でもドクフにはネガティブなイメージがあった。

が、今では「何か夢中になれるような趣味を持つ人」を指す代名詞として定着している。ポン・ジュノ監督が成し遂げた大快挙によって、「成功を目指すドクフ」も増えいくことだろう。

と同時に『パラサイト』のアカデミー賞受賞をきっかけに、韓国はもとより日本をはじめとしたアジアの映画がよりグローバルに羽ばたくチャンスが増えることを期待したい。

(文=慎 武宏)

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