韓国の成人男女500人を対象に行った調査なのだが、「副作用があるので廃止すべき」が37.1%、「純機能があるので維持すべき」が34.0%、「わからない/無回答」が28.9%と、綺麗に意見が三分化されたのだ。
韓国のポータルサイト2位のDaum(ダウム)は、ソルリが亡くなったあとの10月25日、「ニュースと検索サービス改編計画」を発表し、芸能ニュースのコメント欄廃止を決定したが、それもこうした世論を受けてのものだろう。
ただ『オーマイニュース』は、「書き込みを通じた自律的な世論形成と表現の自由の確保は、民主主義社会において放棄できない価値という反論もある」としつつ、こんな意見があることを紹介している。
「交通事故が多いから自動車をなくすことができないように、副作用があるからといって公論の場を閉じてもならない」
それに昨今は、ポータルサイトだけが悪質コメの温床になっているわけでもない。
SNSの誕生で、芸能人や著名人がインタグラムやツイッターなどのアカウントを開設し、ファンとコミュニケーションとるようになったが、そこにも悪質コメが寄せられている状態だ。
ク・ハラやソルリのSNSにも、彼女たちが写真などをアップするたびに悪質コメが必ずあった。
そのため、ポータルサイトのコメント欄廃止やSNSへの悪質コメ禁止を叫ぶよりも、悪質コメに対する処罰を厳格にすべきとの声もある。
というのも、韓国では悪質コメントで訴えられると、主に刑法311条の侮辱罪で処罰されるケースが多いといわれる。
デマの流布行為など情報通信網法違反(名誉毀損)の場合は、3~7年以下の懲役または3000万~5000万ウォン(約300万~500万円)以下の罰金に該当する刑事処罰を受けることになるが、侮辱罪はその処罰が「綿のバットで叩かれる程度」だという。
「公然の人を侮辱した者は1年以下の懲役もしくは禁固、または200万ウォン(約20万円)の罰金に処する」という内容で、そのほとんどが罰金で終わるというのだ。
例えば、新体操界のスター選手で“国民の姪”といわれたソン・ヨンジェをネット上で誹謗中傷した30代男性は、罰金30万ウォン(約3万円)の処罰で終わったという例もある。
つまり、悪質コメで訴えても厳しく処罰できず、有名人の場合、訴訟を起こすというニュースが流れるだけでイメージダウンにもつながりかねないので泣き寝入りするしかないという現状なのだ。
それだけに侮辱罪の処罰をさらに厳しくすべきとの声もある。
保守政党・自由韓国党の議員たちが発議した刑法改定案では「5年以下の懲役もしくは禁固、罰金5000万ウォン(約500万円)」にすべきだとなっている。悪質コメは厳しく処罰されるという認識を与えてこそ、強力な抑止力が働くということだろう。
ク・ハラは今年6月、自身のSNSにこう書き込んで訴えていた。
「皆さんの表現は自由だ。でも悪質なコメントを書き込む前に、私がどんな人間なのか考えてみることはできないでしょうか」
この言葉が限りなく重く悲痛に感じるのは、私だけではないだろう。
(文=慎 武宏)