ボーイズグループPENTAGON出身のアーティスト・安達祐人が再びファンの前に立つ。
今年5月に日本でのアーティスト活動を本格再始動することを発表した安達。同時に新EP『BLUE SPRING』をリリースすると、7月にはWeverseコミュニティ「YUTO ADACHI」をオープンし、ファンともSNS上で活発な交流を続けている。
そんな彼の“再出発点”となる舞台が、今月末に控えるショーケースだ。今回、『スポーツソウル日本版』では安達に独占インタビューを実施。ショーケースや新EP『BLUE SPRING』に込めた思い、そして安達が見据える“未来”を聞いた。
「1年半ぶりにファンのみなさんの前に立つので、まだ実感が湧かないんです」
ショーケースについて尋ねられると、安達は率直な心境を明かした。
来る8月29日、代官山SPACE ODDで開催する同イベントでは、ライブパフォーマンスやトークコーナー、自身がメインパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組『K-STAR CHART presents POP-K TOP10 Friday』の公開収録などが行われる。
開催まで1カ月を切っているが、安達は「本当にあるのか、夢みたいな感じです。逆に実感がいつ湧くのか楽しみ」と笑顔を見せる。
「音楽と合わせて皆さんとより一層楽しめるように、ボーカルスキルを磨いています。ファンの方としっかり目を合わせて、いい雰囲気でショーケースを迎えられたらと思っています」
2016年にPENTAGONのメンバーとしてアーティスト・デビューした安達。7年の韓国活動を経て、2023年より日本に拠点を移して早2年が経った。「もっと自分から動かないと、世間を巻き込んでいくことはできないと改めて感じました。自分の行動が仕事に直結することを痛感しています」とソロ活動の日々を語る。
「グループのときは他のメンバーもいましたし、ただ立っていれば仕事が来るようなこともありました。でも、今は全て自分で動かないといけない。毎日、責任感と葛藤しています」
アーティスト活動の本格再始動を知らせたEP『BLUE SPRING』は、“青春”をテーマにした作品だ。15歳で日本を離れ、青春時代のほとんどを韓国で過ごした安達の心に、“あの頃”はどう残っているのだろうか。
「楽しかったです。言葉はわからなかったけれど、日本人を好いてくれる人が多く、自分も韓国の人が大好きになりました。10年住んでみて、もちろん活動時期は辛いことも多かったですが、ファンの皆さんに会えたり、アメリカやヨーロッパに行ったり、普通に過ごしていたら経験できないような素晴らしいことができました。今思い返してみれば、本当に青春だったなと感じます。当時あれだけ頑張れたからこそ、今の自分がいるのだと思います」と振り返る。
グループ活動時は低音ラップのイメージが強かったが、EP『BLUE SPRING』に収録された全4曲ではどれも“歌声”が耳に残る。「ラップばかりやってきて、歌に関する知識や技術が足りなかった」とかつてを振り返りながら、安達は“今の自分”の成長ぶりを語る。
「レコーディングを重ねるうちに、少しずつ成長を感じられるようになっています。来年、再来年と自分の歌やラップがどう成長するのか楽しみですし、その成長した姿をEPやフェス、ライブで披露できたら幸せですね」
『BLUE SPRING』のミュージックビデオは韓国で撮影。思い出の場所で各地を回りながら、スタッフとともにMVを作り上げていく過程は新鮮で、特別な時間になった。
「ミュージックビデオはスケジュールがタイトで、ご飯も食べられないと思っていたのですが、スタッフさんがお店を調べてくださって、美味しい料理をたくさん食べられました。撮影2日目の夜にマッコリとチヂミを食べたんですが、すごく染みました。韓国でお酒をゆっくり楽しむことがあまりなかったので、『こんな場所にこんな美味しいご飯があったんだ』という発見ができて楽しかったです」
EPでは新たな挑戦も。タイトル曲以外の収録曲『DIVE IN』『BAD』『PICTURE』で、日本語曲での作詞を初めて手がけた。「自分の言葉でちゃんと書こうと思って今回のEPを書きました。なので、自分の経験から出てきている歌詞なんじゃないかなと思います」と、安達はインスピレーションの“源泉”を語る。
作曲にも挑戦したいかを問うと、「まずはボーカルスキルを上げたい」とキッパリ。「ビートがなくても歌うまい人って上手ですよね。ピアノ1つでも様になる方がいっぱいいる中で、やっぱりボーカルの力ってすごいなって感じています。だから今は作曲スキルよりも、ボーカルのスキルを高めたいなと思っています」と話した。
また、タイトル曲『BLUE SPRING』は「故郷を思い出しながら聴いてほしいです。それに、夏の思い出を振り返るときのBGMにもピッタリですよね」と“聴いてほしいシチュエーション”も紹介。収録曲では「大人な夏を過ごしたい方におすすめ。海辺で聴いてほしい」として『DIVE IN』を挙げた。
ソロアーティストとして活動の幅を広げる安達は、プライベートの時間も音楽と密接に過ごす。
「趣味で楽器を弾くのが好きです。音楽が好きで、特に大好きなアーティストはサカナクションさん。山口一郎さんのYouTubeライブ配信もよく見ています。休みの日はなるべく音楽と関わるようにはしていますね。ボイトレだったり、筋トレだったり。お仕事に繋がるようにちゃんと過ごそうとは意識しています」
特に、山口一郎には一人の人間として大きな影響を受けた。「山口さんは30歳で東京に上京して挑戦を続け、今では誰もが知るバンドになった。生き方がかっこいいなと思います。ちゃんとやりたい音楽をされていて、ライブ配信でファンの方と積極的にコミュニケーションをとる姿など、人として学ぶべきことが多い方だなと思っています」と憧れの目を向ける。
ちなみに、サカナクションで好きな曲は『三日月サンセット』。「サカナクションさんは夜のことを歌っている曲が多くて。韓国にいた時は自分も夜生活の人だったので、この曲が好きなんです」と薦めてくれた。
では、この夏にやってみたいことは何だろうか。聞くと、「カフェ店員をしてみたい」と意外な答えが返ってきた。
「社会経験をもっと積みたいです。仕事に来る時も電車に乗るんですが、疲れている人やさまざまな表情の人がいて、この人にはこういう人生があるんだろうなみたいな、つい考えてしまうんです。なにか少しでも“働く”とはどういうことなのかとか、もっと知りたいです。コーヒーも大好きなので、淹れ方をコンテンツ化できたら面白いかもしれません」
そんな安達の心の拠り所は今も生まれ故郷の長野だ。「都会にいるからこそ長野の美しさって理解できますよね。住んでいた時は、刺激がないなと思っていたんですけど、やっぱりどこか安心感のある場所ですね」と“地元愛”を明かす。
ファンにおすすめの地元グルメは、鬼無里村(きなさむら)のおやき。おすすめスポットには霊泉寺湖(れいせんじこ)を挙げ、「ちょっと名前は怖いですが、山に囲まれた湖で、アヒルのボートを漕げますし、子どもたちが遊べるような遊具やドッグランもあります。長野に帰った時は、甥っ子たちを連れてよく行きます」と教えてくれた。
安達が見据える今後の目標は、全国各地でライブを行うこと。「いっぱいライブがしたいです。地方に行って、自分を知らない人たちの前でライブをしてみたいです」という彼は、いずれ日本武道館のステージに立つ夢も胸に秘める。
「何年かかるかわからないですけど、武道館は目指したいです。音楽をやるなら、みんな大きな会場でやっているので、目指せたらかっこいいですよね」
そんな安達の活動の源は、自身を応援してくれるファンの存在だ。インタビューに応じる言葉の端々からも、ファンを思いやる真摯な姿勢が伝わってきた。
「活動期間が空いたことで、離れてしまったファンの方もいるかもしれません。そんな方々にもう一度近くに戻ってきてもらえるよう、より一層頑張りたいです。やっぱり、アーティストはファンの方々がいないと“何でもない人間”になってしまうので。だからこそ、ファンの方々と常に近い存在でありたいなと思っています」
最後に、安達はファンへのメッセージで締めくくった。そのコメントにも、やはりファンの気持ちに寄り添う誠実さがにじみ出ていた。
「長い間お待たせして申し訳ない気持ちです。でも、これからたくさんのライブやイベントで、いろんな姿をみんなと一緒に共有できるように活動していくので、楽しみに待っていてください。そしてこの記事を読んだ方は、ぜひ友達にも広めてくださいね(笑)」
ソロアーティストとして飛躍する“未来”を描きながら、“今”を奮闘する安達。そんな彼の新たな挑戦となるショーケースのチケット一般販売は、8月16日10時からスタート。公演終了後にはお見送り会も行われ、ファンと心を通わせるかけがえのない時間が広がる。
安達祐人が描く“未来”の第一歩を、その場で見届けてほしい。
(取材・文=伊藤千納/写真=姜亨起)
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