キム・スヒョン問題で暗躍する「カロセロ研究所」は何者?保守系ユーチューバーが“暴露系”の一大勢力にのし上がるまで

2025年03月26日 話題

ここ数年、韓国芸能界を騒がせるスキャンダルのたびに暗躍するユーチューバーがいる。「カロセロ研究所」だ。

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最近の急逝した女優キム・セロンさんをめぐる俳優キム・スヒョンのグルーミング疑惑。2023年末、『パラサイト 半地下の家族』出演俳優イ・ソンギュンさんの悲報の直前に公開された関係者との通話音声。いずれも韓国で“カセ研”の略称で呼ばれる同チャンネルが暴露したものである。

日本でも関連報道を通じてその名を目にした人もいることだろう。では、「カロセロ研究所」とは何者であり、どのような経緯で現在のような影響力を持つに至ったのだろうか。

投げ銭額で「世界9位」も

そもそも、カロセロ研究所は芸能スキャンダルの暴露に特化したYouTubeチャンネルではない。

彼らは公式ホームページで「カロセロ研究所は、自由民主主義と市場経済を重視する右派の価値と理念を確立するために設立された純粋な民間シンクタンクです」と自らを紹介しているが、つまるところは政治系の保守言論活動であり、いわゆる“極右系ユーチューバー”に分類される。

チャンネルは2018年夏、地上波テレビ局MBC元記者のキム・セウィ、元国会議員で弁護士のカン・ヨンソクらによって設立され、登録者数は現時点で約102万人に達する。

キム・セウィ
(写真=「カロセロ研究所」)キム・セウィ

後述する過激な動画内容から広告収入はほぼないものの、これまで熱烈な支持者による「スーパーチャット(投げ銭)」を通じて莫大な金額を稼いできた。実際、2022年には1カ月で1億339万ウォン(日本円=約1059万円)と、全世界で9位、韓国国内ではトップの額を得たこともある。

チャンネルの運営は「株式会社カロセロ研究所」として法人化されており、ソウル江南区(カンナムグ)の街路樹通り(カロスキル)に本社を構える。チャンネル名の「カロセロ」は、この“カロスキル”に由来しているとされている。

カロセロ研究所
(画像=「カロセロ研究所」公式HPキャプチャ)公式HPではグッズ販売も

そんなカロセロ研究所は活動初期、当時の文在寅政権批判や朴槿恵前大統領支持などの政治系や時事ネタを中心に、主には右派層の支持を獲得してきた。

ただ、男性歌手キム・ゴンモの性的暴行疑惑を伝えた2019年12月頃を皮切りに、徐々に芸能関係のスキャンダルを取り上げるようになる。それも「ソン・ジュンギ熱愛相手の実名暴露」「女優チェ・ジウの夫の浮気説」「女優チョン・ジヒョン離婚説」「女優ハン・イェスルの彼氏の前職ホスト説」など大小さまざまな疑惑をネタに、センセーショナルな動画で注目を集めた。

近年では、2023年10月に「BTSのメンバーが某遊興店の常連だった」という疑惑を提起。そして、冒頭に挙げたイ・ソンギュンさんやキム・スヒョンをめぐる暴露によって、今や著名人のキャリアを断絶させかねないほど、芸能界で脅威の存在となっている。

キム・スヒョン
(写真提供=OSEN)キム・スヒョン

事実無根、損害賠償敗訴の事例も支持厚く

もっとも、注意すべきはカロセロ研究所が伝える暴露内容の信憑性だ。

実際、同チャンネルから「過去に遊興店の女性従業員に性的暴行を犯した」と疑惑を向けられたキム・ゴンモは、約3年間にわたる捜査と裁判の末、2022年11月に「嫌疑なし」と潔白が証明された。

ソン・ジュンギの熱愛相手暴露についても、「ソン・ジュンギの彼女は女優ソン・ヘギョとの離婚訴訟を助けた法律事務所の所属弁護士だ」と主張して同氏の実名や顔、さらにはSNSまで公開した挙句、相手側が事実無根と反論したのを受けて、最終的には弁護士側に謝罪している。

また、2021年に相次いで取り上げた「チェ・ジウ夫の浮気説」「チョン・ジヒョン離婚説」「ハン・イェスルの彼氏の前職ホスト説」などに関しても、不明瞭な情報源や関係者の否定によって、現在は疑惑が消え去った状態だ。

BTSの疑惑もやはり、所属事務所のHYBEが「一部で提起された当社アーティストと特定の場所に関連したデマはまったく事実ではない。BTSメンバーは当該の場所を知らず、訪問したこともない。デマの流布と名誉棄損に対し、無寛容の原則で民事・刑事上の法的措置を執っている」と断固否定している。

BTS
(写真提供=OSEN)BTS

何より、実際に法で裁かれた事例もある。昨年10月には文在寅政権の元法相チョ・グク氏とその家族に対するデマ流布によって、ソウル高裁が計4500万ウォン(約460万円)の損害賠償を命じた。

今年2月7日にも、「ソナム党」ソン・ヨンギル代表に対する虚偽の性売買疑惑提起で1000万ウォン(約102万円)の損害賠償が命じられている。

今回のキム・スヒョン騒動でも、所属事務所のゴールドメダリストが性暴力犯罪の処罰などに関する特例法違反(カメラなどを利用した写真・動画の頒布等)や脅迫容疑ですでに告発している状況だ。

過去にはユーチューブからチャンネル停止や収益化停止も受けているカロセロ研究所。だが、現在も何食わぬ顔で暴露を続け、右派勢力を中心に一定の支持を得ている。最近でも平日の日中に保守団体の集会を生配信し、約2500人のリアルタイム視聴者を記録していた。

ファンの間で注目されればされるほど、メディアによって報じられれば報じられるほど、その影響力を強めていくカロセロ研究所。まずは情報に接する一人ひとりがリテラシーを持ち、冷静に読み解く力が求められる。

(文=スポーツソウル日本版編集部H)

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