“職場内いじめ”を訴えてこの世を去った韓国テレビ局の女性気象キャスターをめぐって、母親が娘の過酷な労働環境を暴露した。
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地上波テレビ局MBCで気象キャスターを務めたオ・ヨアンナさんは、昨年9月に突然この世を去った。28歳だった。
オ・ヨアンナさんの母親は2月6日、とある韓国メディアとのインタビューを通じて、娘が生前に受けた壮絶な“職場内いじめ”を暴露した。
母親は、故人がMBCで勤務した3年間で先輩A氏によるいじめがピークに達したとし、「3年間、ずっとAの名前を聞いた。毎日電話して泣いて、一緒に悪口言って、またなだめて。それでも、心の傷はさらに深まった」と訴えた。
オ・ヨアンナさんは職場内いじめによって深刻なストレスを受け、うつ病で精神科の診断を受けたという。
現在、警察に勤めているというオ・ヨアンナさんの母方の叔父は、故人に対するAのいじめの発端がMBCの朝の報道番組『ニューストゥデイ』にあると主張する。
元々同番組で起用されていたA氏は、出演を2回“ドタキャン”したことで降板。その代役としてオ・ヨアンナさんが起用された。すると、2022年3月にオ・ヨアンナさんを『ニューストゥデイ』に起用したチーム長が他部署に異動して以降、A氏のいじめは激しくなったという。
その後、精神科への相談を通じてうつ病と診断され、相談日誌には会社での生活に対する苦痛が多く綴られた。うつ病が原因で眠れず、処方された薬を飲んだ後、苦しみを忘れようとお酒まで飲んだ結果、仕事をまともにできないという悪循環が繰り返されたものと見られる。
そんなオ・ヨアンナさんだが、最後まで番組出演に対する意志を離さなかった。「体を疲れさせて睡眠をとる」ための苦肉の策として、本業の気象キャスター以外に、フィットネスクラブのコーチ、食堂の皿洗いなどのアルバイトまでしたという。
母親が「なぜそんなに体を酷使させるのか」と娘に尋ねると、彼女は「忙しく動けば、(疲れて)眠れるから。睡眠薬や酒に頼らずに。番組を上手くやりたい」と答えた。
そもそも、本業の気象キャスターが安月給だった。月160万ウォン(日本円=約16万円)前後の、フリーランスと同程度の給与だった。1番組に出演するごとに8万ウォン(約8000円)程度を受け取り、月130万~160万ウォン(約13~16万円)の収入を受け取っていたというのが遺族の主張だ。
生活をするだけでもいっぱいいっぱいの金額だったが、発音の指摘を受けたことで、矯正のため現職にもかかわらずアナウンススクールに通い、発声レッスンを受けるなどの努力もした。
母親は「アンナは努力を続けた。だが、先輩たちは変わらなかった。いくらもがいても元の場所だった」と同メディアに訴えた。
ただ、母親はオ・ヨアンナさんの“生きたかった”という意思が強かったことを再三強調した。
「アンナは実際、死にたくなかった。生きたかった」という母親は、「アンナは死で見せたかったことがあったと思う。あなたたちに“私、本当に大変だって話したじゃん。私の声聞こえない?私が死んだら聞いてくれるの?”…アンナはそんなことを言いたかったのではないかと思う」と話した。
MBCの責任回避も指摘した。MBCはこれに先立ち、「オ・ヨアンナが担当部署や一緒に仕事をした管理責任者に(職場内いじめを)知らせたことがまったくなかった」と明らかにした。だが、母親は「生前に苦衷を打ち明けた関係者の名前を確保した。MBC所属アナウンサー、助演出、PD、気象キャスターだ」と明示した。
最後に、母親は真の謝罪を求めた。
「真相調査はまともに行わないだろうし、期待もしていない。そうしたところで、私の娘が帰ってくるのか」という母親は、「気象キャスターたちがクビになることを望まない。ただ、過ちがあると感じたら謝ってほしい。MBCも問題があれば正さなければならない」と明らかにした。
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