「法は絶対に被害者の味方ではない」韓国カルト宗教の暴露ドキュ製作者、公開後の変化と現実語る

2023年03月20日 話題

韓国のカルト宗教団体の実体を赤裸々に暴露したNetflixドキュメンタリー『すべては神のために:裏切られた信仰』を演出したチョ・ソンヒョンPD(プロデューサー)が、約6500人余りが加入したキリスト教福音宣教会(通称「摂理」)の棄教者会カフェに文を載せ、話題を集めた。

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教祖のチョン・ミョンソクに対して、数多の被害者の涙や告訴、証言が続いた状況でも堅固だった摂理だが、『すべては神のために』公開以後、教会内部でも暴露が相次ぎ、信者たちの棄教ラッシュが加速しているようだ。

3月3日よりNetflixで配信されている『すべては神のために』手掛けたチョPDは、摂理編を通じて、棄教者メープル、摂理の元牧師、被害者の会エクソダスの元代表キム・ドヒョン教授などの生々しい証言を土台に、数千人もの女性信者に対して性的暴行を犯したチョン・ミョンソクの醜悪な実体を、全世界に暴露した。

そんなチョPDは16日、ネット上のフリー掲示板に載せた文を通じて、ドキュメンタリー公開以後の変化を感激した声で証言した。

メープルの貢献

「昨年3月16日、摂理は聖地昇天日と呼ぶチョン・ミョンソク氏の誕生日にメープルとともに記者会見場に行った瞬間が、私には依然として目の前に浮かぶ」とし、「ストレスのためか、朝から激しい腹痛を訴えていたメープルに私は、記者会見をするのは無理だと思うので取り消そうと言った。だが、メープルは“神も私を止めることはできない”と答えた。大きな衝撃だった。尊敬の念を抱くほどだった」と振り返った。

(画像=予告編キャプチャ)被害者のメープル

実際、ドキュメンタリーでチョン・ミョンソクの醜悪な性的暴行の録音を公開したこともあるメープルは、身分を表わす記者会見を控え、移動車の中でしきりに吐き気を催し、苦痛を訴えていた。

しかし、堂々と顔をさらけ出したメープルの訴えは、ドキュメンタリーの中で何よりも強力な真実の力を発揮したといえる。彼女の勇敢な告白が事実上、このドキュメンタリーの始まりだと言っても過言ではない。

チョPDは続いて、「そして1年が過ぎた今日、昨年は想像もできなかったことが起きている。(摂理内部で)“サタンの胴体”と呼ばれたキム・ドヒョン教授は突然、義人となり、チョン・ミョンソク氏は拘束、ナンバー2のチョン・セウン氏はチョン氏の犯罪事実を認めてしまう事態まで起きた」と話す。

そして「私が想像もできなかった結末だ。もしかして、このような状況を予測した方はいらっしゃいますか。それらすべての変化は、メープル、そしてフランシスの勇気ある選択と告訴から始まったと思う。もちろん、その過程は決して容易ではなかった」と述べた。

「法は絶対に被害者の味方ではない」という現実

また「カルト宗教を取材しながら切実に感じたことの一つが、法は絶対に被害者の味方ではないということだ。アメリカであれば終身刑を宣告されたチョン・ミョンソク氏に、10年刑を宣告して追加の被害者が出るようにしたのも、私が気の毒に思うアガドンサンのナグォンとカン・ミギョン氏の死亡事件に対して無罪を宣告したのも、そしてSBS『それが知りたい』アガドンサン事件放送禁止仮処分を決定したのも、ほかでもない大韓民国裁判所だった」と指摘。

チョPDは「すべての人は弁護人の法的助力を受ける権利が存在するが、法務法人クァンジャンがチョン氏を必ず弁護しなければならなかったのか、民弁(民主社会のための弁護士会。韓国の弁護士団体)出身の弁護士が、過去から今回の上映禁止仮処分の件まで、アガドンサンのキム・ギスン氏を弁護しなければならなかったのか、私にはよく分からない」とし、「ただ、お金は政治的指向性も人権に対する感受性も消えるようにする力があるということを感じるだけだ」と苦々しい所感も伝えた。

女性信者に対する常習性的暴行疑惑で10年間拘束収監されたチョン・ミョンソクは、2018年出所したが、出所後も数人の信徒に性暴行を加えた容疑で2022年10月に再拘束された。そして同年11月に初裁判を受け、3月21日に4度目の裁判を控えている状況だ。

影響はこれだけにとどまらない。裁判を控えた状況で『すべては神のために』が公開されると、チョン・ミョンソクと弁護人に対する世論が悪化し、弁護士6人が全員辞任したりもした。

そうかと思えば、摂理のナンバー2と呼ばれるチョン・ジョウンが、ドキュメンタリー公開以後、「女性たちが先生の隣の半径3m内に入れないよう防いだ」とし、性犯罪を認知した上で防ごうとした、というような発言で話題を集めたこともある。

しかし、摂理の棄教者たちは「チョン・ジョウンはチョン・ミョンソクに被害者を送り込んだ当事者だ。女性を選別し、最後にチョン・ジョンウンがもう一度個人面談を行い、通過すればチョン・ミョンソクのところに行くこと」と暴露。事実上、チョン・ジョウンが面接官の役割を果たしたという。

摂理教会の牧師として活動しているチョン・ジョウンに対して、警察は近く召喚調査を予告している。また、チョン・ミョンソクの生家が位置する忠清南道錦山郡津山面石幕里(チュンチョンナムド・クムサングン・ジンサンミョン・ソクマクリ)で主に性犯罪が発生したことで、現在は忠清南道警察庁女性青少年犯罪捜査隊が事件を管轄しているという。

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