韓国で“19禁”(日本のR-18にあたる)の観覧等級を前面に押し出した番組が増加しているが、むしろ19禁が足かせになってしまう状況が生じている。
すべての話数で19歳以上の観覧等級を宣言し、放送前から話題を呼んだJTBCのドラマ『優雅な友達』(原題)は、かつて“19禁”でありながら視聴率28.3%を叩き出したドラマ『夫婦の世界』に続くドラマとして注目を集めた。
しかし「現実的で日常的な部分を加減なしに見せるため“19禁”になった」というソン・ヒョンウク監督の説明があったにもかかわらず、『優雅な友達』は折り返しを過ぎても、さまざまな刺激的なシーンによって非難を受けている。
『優雅な友達』は、友人の突然の死によって平和な日常に亀裂が生じた20年来の友人たちと、その夫婦の話を描く。しかし折り返しを過ぎた現在まで、このドラマで主となる葛藤の軸は、友人マンシク(演者キム・ウォンヘ)の死ではなく、ナム・ジョンヘ(演者ソン・ユンウィ)に対する性暴力だ。
偶然出会ったチュ・ガンサン(演者イ・テファン)から、薬物を利用した性的暴行と不法撮影をされたナム・ジョンヘ。チュ・ガンサンはその写真を口実にナム・ジョンヘを脅迫し、夫アン・グンチョル(演者ユ・ジュンサン)との関係を破局に追い込む。
最近、韓国社会でも問題視されている性犯罪がドラマの葛藤の要素として使われていることも問題だが、チュ・ガンサンがナム・ジョンヘに強制的に口づけするなど、セクハラと性的暴行の場面を刺激的に表現した点、男性による酒の席での淫らな軽口、セクシーな映画を撮るシーンなどは、いくら“19禁”といっても論議は避けられなかった。
もちろん実際の中年男性の誤った認識を指摘する意味もあるだろうが、あえて女性主人公を性犯罪の被害者として描く必要はあったのかという疑問は残る。不快感を吐露する視聴者も少なくない。視聴者掲示板には「19禁とすれば暴力性と扇情性は合理化されるのか」「薬物犯罪、不法撮影など、一体どの部分が現実の夫婦の話なのか」など、抗議が続いている。
ドラマだけの問題ではない。
チャンネルAの“19禁”の夫婦トークショー『また熱くなりたいエロ夫婦』(原題)は、実際の夫婦の事情をドラマで再構成し、パネラーたちがトークする形式のバラエティ番組だ。モニタリングではなく、トークで夫婦の話を扱うという点で他の夫婦バラエティとの違いを出したが、最初の放送後の評判は分かれている。
バラエティ番組としては異例となる19禁を掲げただけに、視聴者の関心を引くかのように刺激的な内容を過度に含んでいるという指摘だ。特に初放送から不倫、性病、夫婦関係の回数などをテーマにトークが進行し、実際の夫婦の事情は扇情的に再現された。また“正常な家族”というイデオロギーを強調する発言で、視聴者たちの不信を買ったりもした。
業界では、刺激をリアルで包み隠したような番組が“19禁”に対する間違ったイメージを定着させないかと心配している。
大衆文化評論家のチョン・ドクヒョンは、「グローバル動画プラットホームなどが勢いに乗るなか、韓国コンテンツの競争力を高めるためには、ドラマでもバラエティでも19禁コンテンツが多様に出てこなければならない」としながらも、「ただ現在のように刺激的で扇情的なだけの19禁コンテンツが増えれば、韓国で19禁コンテンツ市場が開かれる前に閉じる可能性が高い。『夫婦の世界』や『魔女狩り』が人気を呼んだのは、扇情的だからではなく、庶民が共感に値する話を扱ったからだ。刺激的なコード以上に真剣なアプローチが必要である」と述べた。
最近の韓国ドラマ市場には、『ミスティ~愛の真実~』『密会』などロマンスから、『ルガール』『他人は地獄だ』などのスリラーまで、完成度を高めるために“15禁”と“19禁”の観覧等級を行き来するコンテンツが絶えず出ており、最近地上波のトークショーで“19禁”となったKBS2『スタンドアップ』など新しいバラエティ番組も登場している。
しかしテレビという媒体の特性上、制作陣がより深い責任感と警戒心を持つ必要があるという声が出ている。
ある放送関係者は「映画や動画プラットホームに続き、バラエティ番組やドラマでも多様な素材の19禁の放送が増え、視聴者たちの選択肢を広げている状態」とし、「ただテレビは19禁といっても青少年がアクセスしやすい媒体であるため、暴力性や扇情性の問題において注意を払う必要がある」と伝えた。
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