こんなことをするためにAI(人工知能)は作られたわけではない。本来、技術の進歩によって人々の生活を便利にするために生まれたはずだ。
ところが俳優イ・イギョンがAIを使って捏造された私生活のデマに苦しんでから間もなく、今度はモデルのムン・ガビと俳優チョン・ウソンの間に生まれた「子どもの顔」まで作られてしまった。
シングルマザーであることを公表したムン・ガビは最近、SNSを通じて子どもと過ごす日常の写真を共有した。ムン・ガビの息子は以前、チョン・ウソンの実子であると報じられ、大きな波紋を呼んだことがある。
そのためか、ムン・ガビはコメント欄を閉鎖した。
問題は、その後だった。彼女が子どもとの日常を公開するとすぐ、一部のネットユーザーがムン・ガビとチョン・ウソンの顔を合成し、架空の子どもの写真をAIで生成して拡散したのだ。
さらにその画像を使った動画まで制作され、YouTubeチャンネルに投稿された。ムン・ガビ自身が一度も公開したことのない、“実子の顔”が勝手に作られたのである。
ムン・ガビはすぐに反応した。彼女は「私が投稿した写真を無断で使用し、あたかも私が子どもの顔を公開し、インタビュー形式の公式コメントを残したかのように偽造された投稿が出回っている。その映像に出てくる私と子どもの姿、そしてそこに添えられた文言は事実ではなく、明白な虚偽であり、元の写真を無断で利用して制作されたAI合成映像だ」と強く線を引いた。
明らかに悪意のある行為だ。ムン・ガビはこれまで一度も子どもの顔を公開していない。何よりチョン・ウソンの「婚外子」報道はいまだに注目を集める出来事であり、単なる話題づくりのためにAI技術を悪用し、他人の子どもを利用した点が怒りを買っている。
AIによる捏造騒動は、すでに韓国芸能界全体を揺るがしている。
10月にはイ・イギョンがAIで作られた虚偽の私生活スキャンダルに巻き込まれ、イメージに大きな打撃を受けた事件もあった。現在、イ・イギョンの所属事務所は法的対応を開始しており、「一切の寛容なく厳しく対処する」との立場を表明している。
あたかも本物のように作られたAI生成物には抗うすべがない。ムン・ガビも「子どもの実際の姿ではない虚偽の写真や映像を含め、母子の日常を歪めるような法に反する行為は、今後、一切控えてほしい」と訴えた。
ムン・ガビの息子は誕生と同時に世間の注目を浴びた。しかし、ムン・ガビにとっては大切なわが子であるにすぎない。誰かの好奇心や話題づくりのために利用されてはならない。
そして進化を続けるAI技術が、誰かのプライバシーを侵す道具になってはならない。
◇チョン・ウソン プロフィール
1973年4月22日生まれ。韓国・ソウル出身。身長187cm。1994年の映画『KUMIHO/千年愛』で俳優デビューし、映画『私の頭の中の消しゴム』『グッド・バッド・ウィアード』『監視者たち』『スティール・レイン』『ハント』『ソウルの春』、ドラマ『アスファルトの男』『ATHENA -アテナ-』『パダムパダム ~彼と彼女の心拍音~』『愛していると言ってくれ』などで主演を務めた。2011年にはフジテレビ系列ドラマ『グッドライフ ~ありがとう、パパ。さよなら~』に出演。2016年には映画『私を忘れないで』で主演と制作を務め、2023年には映画『ザ・ガーディアン/守護者』で監督デビューを果たした。
■【写真】チョン・ウソンとの子供を出産、モデルのムン・ガビとは一体?
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