韓国プロ野球サムスン・ライオンズの外野手が試合中に使用して議論になった“戦力分析ペーパー”の使用が、全面的に許容される。
外野手だけでなく、内野手、そして捕手も、メジャーリーグのようにリストバンドに戦力分析ペーパーを取り付けることができる。
選手自らが分析してプレーする環境が作られただけに、韓国野球委員会(KBO)もこれを受け入れることを決めた。
KBOは1月の理事会を通じて、試合中に選手たちが戦力分析ペーパーを使用できるようにすると発表した。KBOの関係者は2月11日、「投手を除くすべてのポジションの選手が、グラウンドで戦力分析ペーパーを持参して見ることができる。メジャーリーグのキャッチャーのように、リストバンドにペーパーを付着することも可能だ」と明かした。
ただ「メジャーリーグとは異なり、投手は持参が不可能。メジャーでは投手がピッチャーズプレートを踏まずにマウンドから下りた状況に限り、資料を見ることを許可している。しかしKBOリーグは、キャッチャーがデータを見ることができ、キャッチャーとサインを交わすこともできるため、投手のペーパー持参を許可しないことにした」と説明した。
韓国プロ野球における戦力分析ペーパーの問題は、2019年5月にサムスン・ライオンズが提起した。サムスンの外野手が相手打者の打球方向が書かれた資料を後ろポケットに持参し、それを参考にしてポジショニングをした。
これに対して、いくつかの球団がKBOにサムスンの戦力分析ペーパーの使用は正当かどうかを尋ね、KBOは実行委員会(団長会議)を通じて規定を確立するとした。実行委員会は当時、上半期には使用を禁止としたが、下半期からは外野手に限り、資料の持参を許可するとした。
そんな戦力分析ペーパーが今回、全面的に許可されたことで、今年からは野手全員がデータを活用しながら試合に臨むことができる。
野球環境の変化をそのまま表わしている結果だ。
メジャーリーグの指導者たちは、ここ5年間に起こった野球環境の変化が過去30年を超える規模だと口をそろえる。最先端の科学技術が野球に融合されたことで、試合のボール一つひとつのデータが蓄積され、それが投手と打者の成績に直接的な影響を与えている。
昨年、サムスンの外野手は、トラッキングデータとして集計されたバッター別の打球分布を参考に守備を行い、少なくない効果を得た。過去には守備コーチが野手に守備位置を指示したが、今は選手自らがデータを見ながら活用する。
今年からは内野手も相手打者の打球分布をチェックする。捕手もリストバンドにつけた戦力分析ペーパーを使用して、相手打者の苦手なゾーンや球種別の打率などを参考にする見通しだ。
こういった変化についてKBOは、自らが追求している試合のスピードアップにも役立つという立場だ。
KBO関係者は「球団が戦力を分析して活用する方法も変わった。選手たちがベンチから指示をもらう前に戦力分析ペーパーを活用すれば、試合時間の短縮にもつながるだろう」と話した。
韓国プロ野球でも時代の流れに沿って、選手たちが直接判断してプレーする環境が着々と作られようとしている。
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