今回も“大応援団”が北朝鮮代表を後押しした。
3月21日、日本対北朝鮮の北中米W杯アジア2次予選が行われた国立競技場では、北朝鮮ゴール裏に3000人を超える応援団が詰めかけた。
在日コリアンを主とする応援団は、代表ユニホームにならって大半が赤色の服を着用し、スティックバルーンを叩いたり北朝鮮国旗を振ったりして試合前から熱い声援を送った。
スタンドに掲げられた横断幕には、「イギョラ・チョソン(勝て、朝鮮)」「共和国の威容をとどろかせよう!」と書かれていた。
国歌斉唱時には大国旗を広げ、選手とともに北朝鮮国歌を高らかに斉唱した応援団。試合は前半開始2分で日本代表に先制を許したが、応援の勢いが衰えることなく、むしろボルテージをさらに高めてピッチ上の選手にエールを送った。
後半に入り決定的なシュート、GKのビッグセーブなどが続くと応援団の熱気はより上昇。同38分、FC岐阜に所属する在日コリアンのMF文仁柱(ムン・インジュ/24)が途中出場すると盛り上がりは最高潮に達した。
結局、試合は北朝鮮が0-1で敗れたものの、応援団は終了の笛が鳴った後も声援をやめず。場内では日本代表のインタビューが流れるなか、挨拶に来た北朝鮮の選手たちに声を振り絞って「ピルスン・チョソン(必勝、朝鮮)」と叫んでいた。その声量はメインスタンドの記者席にも届くほどだった。
北朝鮮代表のシン・ヨンナム監督は試合後の会見で、「同胞たちが愛国の思いで団結した信念の叫び声が、我々を非常に鼓舞してくれました。次の試合結果を楽しみにしてください。同胞たちの期待に背くことなく、必ず素晴らしい試合結果で応えます」と感極まった様子で同胞の応援に感謝を伝えていた。
去る2月28日に行われた女子サッカーのパリ五輪アジア最終予選で、北朝鮮の選手に熱い応援を繰り広げて注目を集めた北朝鮮代表の応援団。計5万9354人が来場した今回のW杯予選でも、90分間通して熱烈な声援を選手に送り続けた。
(取材・文=姜亨起/ピッチコミュニケーションズ)
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