年始から韓国プロ野球界で相次ぐ事件…遠すぎる“クリーンベースボール”への道のり

個人だけの問題ではない。自分と家族はもちろん、球団と韓国プロ野球界全体にも消すことができない傷を残す。

事件・事故を防ぐためには、野球人が自ら変わるしか方法がない。

大衆からの人気を得ることで生活し、職業と名前が公開されたプロ野球選手やコーチは、一般人以上の道徳的な基準を求められる。彼らの言動が社会に及ぼす影響が大きいからだ。

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たったひとつのミスで、これまで積み上げてきた信頼をすべて失うこともあるという警戒心だけでなく、それぞれが“ただの個人”ではないという認識を持たなければならない。

自分だけでなく、所属する球団、さらには球界全体に“犯罪者集団”という烙印が押される危険性があることは、すでに過去の多くの事件で証明されてきた。その認識が不足している人物に対して、球団が独自の検証システムを作る必要がある理由だ。

新年早々、眉をひそめる事件が相次いで起きた。

プロ野球選手とコーチによる事件

1月2日、LGツインズの投手Aが暴行事件で警察に立件されたことが発覚したことに続き、1月4日には、NCダイノスのコーチBが暴行容疑で立件された。

LGツインズの投手Aは12月29日深夜1時40分頃、ソウル龍山区でガールフレンドと争っていた。通りすがりの市民が争いを止めようとすると、Aはその市民の顔を殴打したとの疑いを受けている。

またNCダイノスのコーチBは、1月4日深夜3時頃、家庭内暴力の通報を受けて出動した警察官を暴行し、擦り傷を負わせた。公務執行妨害の容疑を受けたBは、警察の調査が進行中だ。

韓国野球委員会(KBO)とA、Bの所属球団は、警察の調査結果に意識を傾けながら虚脱感を隠せない。過去3年間、事件を起こした選手や職員を対象に、任意脱退をはじめとする重い懲戒を下してきたにもかかわらず、“クリーンベースボール”への道のりが遠すぎるからだ。

蚕室(チャムシル)野球場

KBOと球団が着実に教育を進め、逸脱行為の防止を強調しても効果がない。

KBOクリーンベースボールセンター長のチョン・グムジョ氏は、「2018年からKBOと各球団の懲戒がかなり厳しくなった。さらに毎年、KBOと各球団、プロスポーツ連盟までもが飲酒・暴行・八百長など不正行為について教育をしている。2019年だけでも3~4回の教育を行った。それでも事件が繰り返されているのが現状」とため息をついた。

続いて彼は「本人のせいで所属球団だけではなく、球界全体に与えるイメージの損傷を考えなければならない。選手の一人ひとりが覚醒しなければならない」と、物足りなさをこぼした。

来季契約もされている2人だが…

結局のところ、野球人が自ら事件・事故を避ける習慣を身につけなければならない。過去のように、周りの人を動員して事件をもみ消すことができるというのは、大きな勘違いだ。

野球選手や指導者が関連した事件・事故は、注目度が高い。有名政治家や芸能人のように、容疑がリアルタイムで外部に公開される。球団名だけでも目を引く。

「今の野球選手は飲酒するだけでも周囲の否定的な見方を受けなければならない時代だ。選手自身が変わらなければならない。責任感を持つ変化によって、イメージを改善しなければならない」という、ベテラン選手の主張を真剣に考える必要がある。

LGツインズの投手AとNCダイノスのコーチBは、所属球団との2020年シーズンの契約を締結した状態だ。Aは2月の春季キャンプにも名前が入っていることが確認された。

両球団関係者は「警察の調査が終わり次第、懲戒を決定する計画だ」と口をそろえた。そしてLG関係者は「明らかになった事実だけでも、懲戒を下すことができる。1月6日の内部会議で決める」と、NC関係者は「契約解除まで検討している。調査期間が長くないと見え、球団の立場でもすぐに決める」と強調した。

事件をもみ消したり、トカゲの尻尾切りで終わらせたりしないという意志だ。KBOも球団の懲戒とは別に、賞罰委員会を開く。

しかし、事後の懲罰だけでは事態を改善することができない。野球関係者全員が1度の事件・事故でも取り返しがつかない“1アウト制度”のなかで生きている自覚を持つ必要があるだろう。

各種教育制度だけでは、集団を変えることはできないことは明かだ。自省し、変化するしか方法はない。

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