韓国プロ野球界に衝撃が走った。KIAタイガースを率いるキム・ジョングク監督が、不正に金品を授受した疑いで検察の捜査を受けていることが発覚したのだ。
KIAは直ちに職務停止処分を下したが、あまりにも最悪のタイミングだ。何より、ハッキリとした措置を取ることが難しい点が最大の問題である。まさに“四面楚歌”だ。
KIAは1月28日、「キム・ジョングク監督が捜査当局の調査を受けているという事実を25日に確認した。27日、キム・ジョングク監督との面談の場で最終的に確認した。捜査が行われる間、監督としての職務を正常に遂行できないと判断し、職務停止措置を下した」と明らかにした。
本紙『スポーツソウル』の取材を総合すると、キム・ジョングク監督は現在、警察の取り調べを受けている。金品授受の疑いだ。
KIAは「まだ捜査初期段階だ」「当惑している」「事実関係を把握中だ」といった言葉を並べている。
素早く措置を取ったことまでは良い。ただ、当面はそのほかにできることがないという点が問題だ。捜査状況を見守り、監督の身体を最終的に決断するしかない。
それにしても、タイミングが悪すぎる。KIAは来る1月30日、春季キャンプのためオーストラリアへ立つ。その2日前に、監督の職務が停止されたのだ。
当面はチン・ガプヨン・アシスタントコーチが指揮を執ることになったとはいえ、監督がいるのといないのとでは大きな違いがある。
その間にも、シーズン開幕は刻一刻と迫ってくる。春季キャンプは1年間のシーズンを左右する最も重要な準備期間だ。
ところが、現時点で早くも支障が生じた。全体的なシーズン構想が乱れる可能性がある。
KIAはすでにキム・ジョングク監督体制でコーチ陣の編成も終えている。今すぐ新監督を招へいすることは容易ではない。
新しい監督が来るとなれば、コーチ陣にも変化が避けられない。“タイミング”が問題だ。ややもすると、混乱だけが加わる事態になりかねない。
あえて“待ち続ける”という選択もできなくはない。検察が調査した結果、キム・ジョングク監督に容疑がないと明らかになれば、監督職務遂行に障害はない。
ただこの場合、道徳的な批判は避けられない。”不正疑惑が浮上した監督”というレッテルが貼られることになる。
決定権はKIAに渡った。だからこそ、より困惑の事態となっている。すぐに解任とすることも負担であり、そのまま突き進むことも曖昧な状況だ。最悪の場合、何も解決しないまま時間だけが流れる可能性がある。
韓国プロ野球では以前、サムスン・ライオンズの主力選手が海外遠征時に賭博した事件と関連して苦労したことがある。
当時は「調査結果が出次第、措置を取る」という言葉だけを繰り返した。実際、確実なものが出なかったため、仕方のない部分ではあった。
そうして、時間だけが流れた。その期間は批判も多く受け、困惑が続いた時間だった。結果的に、該当選手たちは皆チームを離れることになった。
サムスン選手の海外賭博と今回は、まったく同じ事例ではない。その代わり、球団の”手足が縛られた”という点は共通している。
どこからどう手を付ければよいか困っている。いかなる形であれ、決断が必要なようだ。
なおKIAでは、現役時代に中日ドラゴンズで活躍し、中日をはじめ複数球団でコーチを務めた中村武志氏が、2024年シーズンからバッテリーコーチを務めている。
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