「この2年間で皆さんが我慢して着用してきたマスクを考えると、W杯の試合で被ることになる僕のマスクは何てことありません。たった1%の可能性でもあるのであれば、その可能性を信じて、残り少ない時間を前だけ見て走っていきます。美しい我が国のW杯代表選手になるために」
ソン・フンミンは、自身がW杯に出場できるかどうかという韓国サッカー最大の話題が浮上したなか、初めて自ら「W杯でプレーする」という意志表示をしたのだ。
ソン・フンミンは今月2日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第6節のマルセイユ戦で、相手DFと競り合う過程で相手の肩に顔面が強く直撃し、眼窩骨折という重傷を負った。
受傷から2日後の4日に手術を受け、無事に終了したが、骨折は最低でも4週間の回復期間を設けなければならないため、W杯出場が不透明とされていた。
カタールW杯でグループHに入った韓国代表は、来る24日にウルグアイ代表とのグループステージ初戦を戦う。この日は、ソン・フンミンが手術を受けてから3週間が経過した時点だ。
その後、28日にガーナ代表との第2戦、12月3日にポルトガル代表とのグループ最終戦を戦う。つまり、ソン・フンミンが正常なコンディションでW杯に出場することは事実上不可能というわけだ。
サッカー関係者の間では、韓国代表率いるパウロ・ベント監督は、キャプテンかつ絶対的エースでチームの“精神的支柱”であるソン・フンミンをひとまず帯同させ、負傷部位の状態を見ながら出場のタイミングを計るだろうと予想されている。
韓国サッカー協会(KFA)の幹部も最近、取材陣に対し「ソン・フンミンも(W杯に)出場することを望んでいるだろう。ベンチにいるだけでもチームメイトにとっては大きな力になるはずだ」とし、「手術を無事に終えたので、(ポルトガル代表との)第3戦ぐらいにはプレーしてほしいという希望もある」と伝えた。
とはいえ、ソン・フンミンに大会参加、さらには出場を強要することはできない。あくまで現時点では手術を終えたばかりの“患者”であるため、まずは回復に専念してもらうことが正しい処置だ。
仮にソン・フンミンが無理にW杯で試合に出場し、二次負傷をしてしまうことになれば、本人はもちろん、韓国サッカーにとっても大きな悪材料となりかねない。
それでも、ソン・フンミンが自らW杯出場意志を明らかにしたことは、ベント監督の悩みを和らげるのはもちろん、チームメイトにも大きな力と自信をもたらすことだろう。
◇ソン・フンミン プロフィール
1992年7月8日生まれ。韓国・江原道出身。身長183cm。大韓民国のサッカー選手で、サッカー大韓民国代表キャプテン。小学校と中学校ではサッカー部に所属せず、韓国代表経験のある父ソン・ウンジョン氏から直接指導を受けていた。2010年にドイツ・ブンデスリーガのハンブルガーSVでプロデビュー。その後、2013年に移籍したバイエル・レバークーゼンで2年連続二桁ゴールを披露し、2015年にプレミアリーグのトッテナム・ホットスパーへと移籍。愛称は“Sonny(ソニー)”。