7失点と崩れたリュ・ヒョンジン…東洋人初のサイ・ヤング賞も“赤信号”

これまで積み上げてきた実績が大きく崩れた。予想できなかった大量失点によって、サイ・ヤング賞の競争構図も変化しそうだ。

もはや誰もリュ・ヒョンジン(ロサンゼルス・ドジャース)のサイ・ヤング賞受賞を保証することはできない。

悪夢そのものだった。

リュ・ヒョンジンは8月24日、米カリフォルニア州ドジャー・スタジアムで行われたニューヨーク・ヤンキースとのホームゲームで、4.1イニング7失点と崩れた。3回にソロ本塁打を2度も許し、5回には立て続けにヒットを打たれて満塁ホームランまで浴びた。

この日まで1.64だったリュ・ヒョンジンの防御率は、2.00にまで落ちた。5月13日のワシントン・ナショナルズ戦以降、続いていた1点台の防御率は、103日ぶりに崩れてしまった。

投手を評価する重要な指標である防御率でトップを走り続け、東洋人初のサイ・ヤング賞の有力候補だったリュ・ヒョンジンだが、レギュラーシーズン終了まで5週間の時点で取り戻すことが難しい傷を負った。

(画像=MLB.com)ヤンキース戦で7失点したリュ・ヒョンジンが5回途中にマウンドを降りた

8月18日のアトランタ・ブレーブス戦で見せた不安要素が、今回も繰り返された。ブレーブス戦で本塁打2本を許したリュ・ヒョンジンは、ヤンキースを相手にした試合でも長打の恐怖から脱出できなかった。

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現在、多くの打者がリュ・ヒョンジンの球種と、それに応じた軌跡を研究してから打席に立っている。正確な制球であっても打者に予測されれば長打となり、失投の一つひとつが取り返しのつかない結果につながる。

ヤンキース戦を振り返ってもそうだ。ヤンキースの巨砲アーロン・ジャッジは、リュ・ヒョンジンの武器であるチェンジアップを攻略して、ソロ本塁打を放った。5回表の満塁の状況では、ディディ・グレゴリウスに直球を投げて大量失点を記録してしまった。

リュ・ヒョンジンがヤンキース戦で大量失点したことによって、ナショナルリーグのサイ・ヤング賞の競争構図も急激に変化した。

現在もリュ・ヒョンジンが防御率で1位を守っているが、流れだけを見れば、昨年のサイ・ヤング賞受賞者ジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)が優位にある。デグロムは8月24日のブレーブス戦で、7イニング、13奪三振、1失点と好投してリュ・ヒョンジンとの防御率の差を縮め、イニングと奪三振部門でリュ・ヒョンジンとの差を大きく広げた。

シーズン後半の記録だけを見ると、リュ・ヒョンジンは7試合43.2イニング2勝2敗、34奪三振、防御率2.68だが、デグロムは8試合52イニング4勝0敗、69奪三振、防御率1.04と大きくリードしている。

(画像=メッツ公式Twitter)8月24日のブレーブス戦で好投したジェイコブ・デグロム

サイ・ヤング賞受賞者を予測するセイバーメトリクスのアナリスト、トム・タンゴが提唱している「サイ・ヤング賞ポイント」も、リュ・ヒョンジンは67.6ポイント、デグロムは63.7ポイントとなり、一時15ポイント以上も離れていた差が急激に縮まった。

当初「今シーズンは、サイ・ヤング賞を考えていない」と、リュ・ヒョンジンとの防御率の差を考慮して話していたテグロムも、サイ・ヤング賞2連覇を視野に入れている。8月24日の時点で、奪三振、bWAR、fWAR部門でナショナルリーグ1位に上がった。

デグロムは2018シーズン、最後まで1点台の防御率を死守し、歴代最低勝利数でありながら21世紀最優秀防御率で、サイ・ヤング賞の受賞者となった。

もちろん、まだシーズンは終わっていない。

テグロムの勢いが凄まじいが、リュ・ヒョンジンが再び防御率を1点台に戻せば、優位を取り戻すことができる。リュ・ヒョンジンとテグロムは今後、少なくとも5試合、最大で7試合ほど先発登板が残っている。

毎試合の好投も必要だが、動揺しないことが重要だ。結局、シーズン最後まで崩れなかった投手が頂点に立つ。

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