韓国プロ野球「最低年俸」となった元オリックスの外国人投手…“コスパ最強”の活躍が期待される理由

2022年の韓国プロ野球KBOリーグにおける外国人選手の平均年俸は約104万ドル(日本円=約1億2016万円)だ。

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最高額はNCダイノスの投手ドリュー・ルチンスキー(33)で200万ドル(約2億3108万円)。一方、最低額の年俸を受け取るのは、かつてオリックス・バファローズに在籍し、今季からキウム・ヒーローズに加入した投手タイラー・エップラー(29)。その額、総額で40万ドル(約4622万円)と、ルチンスキーの5分の1に過ぎない。

そもそも、エップラーが加入したキウムはオフシーズンで多くの注目を集めた。というのも、米メジャーリーグでも活躍したヤシエル・プイグ(31)を獲得したからだ。

ほかにも、2019年から在籍するエース投手エリック・ヨキッチュ(32)に130万ドル(約1億5023万円)を投じ、慰留に成功した。そして、残りの1枠に迎え入れられたのがエップラーというわけだ。

オリックスにも在籍したエップラー

もっとも、エップラーは身長196cm、体重105kgという体格を持つ右腕のファイヤーボーラーながら、これまで注目を集める機会が少なかった。何より、プロ入り後に一度もメジャーリーグでプレーした経験がないという点も大きく、それだけに年俸も低かった。

ただ、メジャーリーグでの経歴が韓国での成功を保障するわけではない。エップラーはマイナーでもトリプルAで優れた活躍を見せたこともあった。近年は苦しんだ時期もあったが、それにも理由があった。キウムとしても、エップラーの成功を確信して彼を迎え入れた。

(写真=キウム・ヒーローズ)タイラー・エップラー

エップラーはマイナー時代に先発でプレーした選手だ。マイナー通算130試合のうち、先発登板は115試合だった。2018年にはトリプルAで28試合(先発25試合)に登板し、153イニングを投げ、13勝6敗の防御率3.71を記録した。

2019年には日本プロ野球のオリックスでプレーし、24試合に登板して4勝4敗3ホールドの防御率4.02を記録。その後、再びアメリカに戻り、2021年はトリプルAで主に先発としてプレーしていた。

2021年のエップラーの成績は良くない。ワシントン・ナショナルズ傘下でプレーするも、19試合(先発15試合)で2勝9敗の防御率7.75に終わった。9イニング当たりの四球数は3.8個で、デビュー後初めて3個を越えた。あらゆる意味で残念なシーズンだった。

不振の要因となった「フォーム矯正」

不振には理由があった。エップラーは「昨年はワシントンで投球フォームの矯正を要請された。スライダーの変化量を増やすため、腕を振り下ろすようにと言われたが、自分に合わなかった。一貫性に欠けていた。そこで、本来の腕の角度で投げたら良いパフォーマンスが出た。自分に合ったフォームで投げてこそパフォーマンスを発揮できる。良くない経験をしながら、どう投げれば良いかをじっくり考えることができた」と語る。いわば体に合わないサイズの服を着てシーズンを戦っていたようなものだ。

キウムのソン・シニョン投手コーチは、「スライダーに角度を出すため、投げる腕の高さを下げていたようだ。ただ、投手は自分が一番楽だと思うフォームで投げることが最優先だ。左腕のスペシャリストとして起用するために角度を下げるのならともかく、先発とロングリリーフに対しフォームに触れてはいけない。個人的には誤った考えだと思う」と指摘した。

また、「エップラーは投球バランスを見ただけでもボールを乱射するとは思えない。もっと見守らなければならないが、エップラーほどの身長で150kmのボールを投げられれば、打者が打つことは難しい」と期待を示した。

エップラーは、「自分はフォーシーム、ツーシーム、チェンジアップ、カッター、カーブを投げる。最も得意な球種はチェンジアップだ。自分のチェンジアップは、腕の角度と関係なく最高の武器だ。韓国プロ野球の公認球はMLBより粘着力がある。自分にとってはさらに良い部分だと思う。韓国で成功することだけを考えている」と強調した。

長身に優れた体格、剛速球、多彩な球種まであるエップラー。相対的に注目度が低いとはいえ、成功するための条件は整っている。外国人最低額の40万ドルから最上の結果を生み出すことはできるか。過去に類を見ない“コスパ最強”投手としての活躍が期待される。

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