“メガネ先輩”は出産で抜けたが…韓国女子カーリング「チーム・キム」が再始動【インタビュー】

「もう一度チャレンジする本格的な第一歩だ」

2018年の平昌五輪カーリング女子で、銀メダルを獲得した慶北体育会カーリングチーム、通称“チーム・キム”(監督イム・ミョンソプ)が、指導者との葛藤を乗り越えて国際舞台に復帰する。

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スキップで、“メガネの先輩”の愛称を持つキム・ウンジョンが結婚と出産でチームを離れたことで、キム・ギョンエのスキップ体制に改編。キム・ヨンミ(リード)、キム・ソニョン(セカンド)、キム・チョヒ(リード)で構成されたチームに生まれ変わった。

新生チーム・キムは、5月24日(日本時間)にロシアで行われる2019ワールドカーリングツアー(WCT)Arctic Cupに出場する。チーム・キムが国際大会に出るのは、2018年4月のWCTグランドスラム大会であるプレイヤーズチャンピオンシップ以来13カ月ぶりだ。

平昌五輪を通じて韓国国内だけでなく、国際的な名声を得たチーム・キムは、昨年末に起きた指導者との葛藤で一時期、まともなトレーニングを行えない苦難を過ごした。2018-2019シーズンの国家代表選抜戦も、“チーム・ミンジ”と呼ばれる春川市庁に譲った。

だが今年2月の大韓体育会、慶尚北道との合同調査団を結成した文化体育観光部の監査の結果、指導者たちによる選手への人権侵害と会計不正が明らかになり、チーム・キムを取り巻く事態は一段落した。

全国冬季体育大会を通じて復帰へと始動したチーム・キムは、京畿道庁に優勝を奪わて準優勝に終わったが、キム・ギョンエをスキップにした新生チーム・キムをスタートさせる土台を築いた。今回の国際大会を通じて新しい転換点を模索し、7月の新シーズン国家代表選抜戦で、韓国代表を取り戻す決意だ。

5月22日、ロシア出国を控えて仁川国際空港で会った彼女たちは、「学ぶ心で再挑戦したい」と口をそろえた。

左からキム・ソニョン、キム・ギョンエ、キム・ヨンミ、キム・チョヒ

キム・ギョンエは「久しぶりに国際大会に出られることになり、心が躍っている。今回の挑戦が再チャレンジの本格的な第一歩だ」と話した。キム・ヨンミも「期待半分、心配半分」とし、「北京五輪に挑む過程と考えて、熱心に学んでくる」と語った。

スキップの存在があまりに大きいカーリングというスポーツの特性上、チーム・キムは過渡期を経験している。しかしキム・ギョンエは冬季体育大会後、キム・ウンジョンがノウハウ伝授に努めたと明かした。キム・ウンジョンは当時、「ショットは私よりもキョンエのほうが良い。アイスリーディングの能力だけ補完すればいい」と助言したことがある。

キム・ギョンエは「ウンジョン姉が体育大会後、主要なポイントを私に伝授してくれた。だからもっと集中するようになった」と話した。ノウハウの内容をこっそり聞くと、「それは明らかにできない」と笑った。また「(過去ポジションである)サードをしていたときはショットに集中したが、今はショットだけでなく、チームを上手く導かなければならない」とし、「アイスリーディングの能力は足らないが、最大限に努力したい」と語った。

キム・ウンジョンの親友であり、キム・ギョンエの実姉であるキム・ヨンミは、2人の長所を誰よりもよく知っている。キム・ヨンミは「ウンジョンは他人から見ると大胆で果敢に見えるようだが、実際は可愛らしい面が多い」とし、「妹(キム・ギョンエ)は意外に大胆で力がある感じ」と話す。2人の長所をチームの長所にできるよう貢献すると語った。

キム・ウンジョンは2日前に、息子を出産した。キム・ソニョンは「ウンジョン姉が出産して疲れていると思ったので、(出産)当日だけ連絡した。出国する前にもう一度、電話しようと思う」と、抜群のチームワークを強調した。

“メガネ先輩”ことキム・ウンジョン

チーム・キムは今大会を前に、心強い“援軍”と再会した。平昌の栄光をともにしたカナダ出身のコーチ、ピーター・ガレントが5月13日からチーム・キムに再合流したのだ。

チームの末っ子、キム・チョヒは「慶北体育会が私たちを考慮して、再びピーターコーチを呼んでくれた。以前より準備がしっかりした」と満足した。キム・ギョンエも「ピーターコーチが復帰してラインも見てくれ、戦術的にも助けになる」と述べた。キム・ヨンミも「オリンピックのとき“お父さん”のような感じで、私たちを守ってくれた。私たちとよく合う」と喜んだ。

この日、一緒に登場したピーターコーチは「チーム・キムに戻ってこられて、とても良い」とし、「キム・ウンジョンは抜けたが、キム・ギョンエも非常に立派だ。彼女がチームで快適にスキップの役割を果たせるように、私は知っているすべての情報を共有しながら、プレッシャーに打ち勝てるように導く」と述べた。また「着実とステップを踏んで、1年前のチーム・キムがどのようなチームだったかを再び知らせたい」と覚悟を明らかにした。

ピーター・ガレントコーチ

今回の大会は10チームが2組に分かれリーグ戦を行い、各組1~2位が4強トーナメントを行う。韓国女子カーリングは、世界選手権で史上初の銅メダルを獲得した春川市庁、冬季体育大会で優勝した京畿道庁、そしてチーム・キムの三つ巴の様相だ。

キム・ヨンミは「私たちができなかった世界選手権、ユニバーシアード入賞を春川市庁が成し遂げて刺激になった。一方では韓国カーリングが成長したということなので、うれしい」と“善意の競争”をすると力説した。

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