日本プロ野球界で重用される韓国人指導者たち、“人気急落”の韓国プロ野球界と明暗クッキリ

韓国プロ野球で辣腕を振るった名将たちが、日本プロ野球の名門で能力を認められている反面、韓国プロ野球は“リーグ中断疑惑”などで頭を悩ませている。

日本メディア『スポーツ報知』は11月13日、読売ジャイアンツのキム・ギテ2軍ヘッドコーチが1軍打撃コーチに就任すると報道。彼は昨年、阿部慎之助2軍監督の要請でヘッドコーチに就任したが、1年でトップチームに昇格することとなった。

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キム・ギテ氏は、2017年にKIAタイガースを8年ぶりのレギュラーシーズン優勝と、韓国シリーズ優勝に導いた人物だ。

韓国人指導者が“名門巨人軍”の1軍要職を務めるのは、今回が初となる。今回の異動はチームの打撃と得点力強化のため、キム・ギテ前監督の能力が必要だと判断されたためで、2軍でタッグを組んでいた阿部慎之助も、作戦兼ディフェンスチーフコーチとして1軍入りしている。

KIAタイガース所属時のキム・ギテ氏(左)と原辰徳監督(中央)

また、“パ・リーグの雄”ソフトバンク・ホークスには、キム・ソングン元ハンファ・イーグルス監督が所属している。彼は2007年に就任したSKワイバーンズ(現SSGランダース)を初の韓国シリーズ優勝に導いただけでなく、2005年には千葉ロッテマリーンズのチームコーディネーターとして、イ・スンヨプ、里崎智也、今江敏晃など名選手の指導も手掛けた名伯楽だ。またKBO出身者で初めてNPBの正式コーチとなった人物としても知られている。

昨年まで1軍のコーチングアドバイザーとして活動したキム・ソングン氏は、来年は監督付特別アドバイザーとして藤本博史新監督の一助となる予定だ。

キム・ソングン ソフトバンク1軍コーチングアドバイザー

ソフトバンクのキム・ソングン氏は、選手だけでなく指導者を育成するという重責を与えられ、キム・ギテ氏はジャイアンツの再建を牽引する期待株を育てるノウハウで、2年目にして1軍昇格を果たした。チームの志向とカラーが明確であるため、これを具体化し実現できる指導者を国籍に関係なく重用するという点で、日本プロ野球の成長への貪欲さが垣間見える。

韓国プロ野球界が抱える問題

韓国人指導者が日本プロ野球の名門で要職に就く傍ら、韓国野球員会(KBO)では数年前から育成が大きな問題として浮上している。皮肉にも、選手育成に関する明確な哲学と指導方式を持ったキム・ギテ、キム・ソングンの両名が韓国を離れたあと、指導者育成の重要性に苛まれているのだ。

それだけでなく、喫緊の問題としては、チョン・ジテクKBO総裁のリーグ中断に関する疑惑が強く提起され、深刻な信頼度低下に苦しんでいる。

KBOは去る7月に開いた緊急理事会で、史上初のリーグ中断を決定した。これは一部球団所属選手の宿舎離脱や不適切な行為で、相次いで処分が下されたため、正常なチーム運営が難しいと判断したためだ。

しかし最近、韓国プロ野球中継をしている放送局がKBOと球団を相手に損害賠償を起こし、電撃中断の真相が明るみになり始めた。

協会トップに浮上した疑惑

文化体育観光部は11月5日、KBOに当時の議事録の提出を求め、発言内容が公開された。

チョン・ジテクKBO総裁

多くの球団が中断に反対するなか、それまで最終決定の責任がないかのように振舞ってきたが、チョン・ジテク総裁は突如中断を決める。この決断が特定球団を“ひいき”しているという議論へと拡大したのだが、その賛成していた球団の一つが、チョン・ジテク総裁が2023年まで顧問契約を結んでいる斗山(トゥサン)グループを親企業に持つ斗山ベアーズだった。

同球団は、コロナ禍で問題を起こした選手が多かったため、戦力損失が著しく、中断を支持。そのため、忖度が行われたのではないかという疑惑がもたれているのだ。

また、中断決定当時は、チョン・ジテク総裁に決定権が無いとされていたため、より批判が大きい。これにより求心力は急激に低下し、辞任すべきだという声も噴出している。

最高意思決定機関である理事会(社長会議)でも、リーグ発展や産業化よりも、目の前の成績にこだわって算盤を弾くという寸劇が公然と行われている。

リーグの信頼度低下は人気下落に直結する。一時、韓国で国民的スポーツとして脚光を浴びたプロレスやプロシルム(韓国相撲)が、大衆にそっぽを向かれたのも同じ理由からだ。

今後、韓国プロ野球界が発展するためには、指導者の育成よりも先に、自浄作用と正常な意思決定をもたらす理事会が必要なのではないだろうか。

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