【記者潜入ルポ】サッカー日本代表には“無関心”だがコロナでも賑わう居酒屋のなぜ

「サッカーの試合があることすら知りませんでした」

東京五輪・男子サッカー準決勝のU-24日本代表対U-24スペイン代表が行われた8月3日の夕方。

日本最大の伝統市場である上野のアメ横の居酒屋で会った20代女性のアライナツミさんは、このように話していた。

韓国同様、日本でもサッカーと野球は全国民から愛されるスポーツだ。ところが、今回ばかりは徹底的にそっぽを向かれているようだ。

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サッカー日本代表の試合に目もくれず…

現在行われている東京五輪は、開幕前から東京都民はもちろん、日本中で反対の世論が激しかった。それでも、菅義偉首相をはじめとする東京五輪・パラリンピック組織委員会は、主要種目の選手がメダルを獲得すれば国民の歓迎を受けると予想していた。

しかし、そんな期待とも正反対だ。

日本は現時点で金メダル21枚を獲得し、1964年東京大会と2004年アテネ大会の16枚を超え、すでにオリンピック歴代最高成績を確定している。

公共放送のNHKなどは、メダリストの主要なストーリーやインタビューを一日中流しているが、大多数の国民から反応を得られていない雰囲気だ。

男子サッカーだけ見ても、久保建英(レアル・マドリード)や堂安律(PSVアイントホーフェン)など世代トップクラスの選手はもちろん、A代表キャプテンの吉田麻也(サンプドリア)をオーバーエイジ枠に抜てきするなど、歴代最強メンバーを構成し、自国開催のオリンピックで金メダル獲得を目標に掲げていた。

だが、日本にとって重大な試合となったスペイン戦が開かれた日も、関心度は変わらなかった。

記者がアメ横を訪れたときも、本当に緊急事態宣言が発令中なのか疑問に思うほどだった。それほど、居酒屋は大勢の人で埋まっていた。

ちょうど、色んな居酒屋のテレビでは日本対スペインの試合中継が映し出されていた。ところが、試合を観る人はおろか、そもそもテレビに目を向けるような人も見かけられなかった。

(写真=記者撮影)日本対スペインの試合が行われるなか、関心なく賑わいをみせる居酒屋

日本の得点チャンスや良いプレーが出た際には歓呼して拍手する姿が見られると想像していたが、まったくそうではなかった。

大会序盤までも、繁華街の食堂や居酒屋などではテレビに五輪中継を映さなかったところが多かったという。そして最近になって、映すところが増えているようだが、それでも日本人の関心は低いようだ。

前述のアライさんも、「(オリンピックの)生中継はほとんど観ていません。私が唯一(生中継で)観たのは、開幕式と女子柔道の試合ぐらいです」とし、「ネットなどでメダル獲得のニュースに接しますが、だからといって興奮したり、関心を持ったりするほどではありません」と話している。

また、20代男性のカトウコウキさんは、「オリンピックに関心がないかもしれませんが、(緊急事態宣言期間に)集まってお酒を飲むことを公に話せないのも事実」とし、「ただ、ここでは(試合に熱狂するより)お酒を飲むことの方が好きなので、そうなのかもしれません」と説明した。

続けて、「メダルのニュースで(オリンピックへの)関心を引こうとしているのはあるかもしれませんが、(全体的な雰囲気は)以前と似ています」と強調した。

“外見だけ防疫”への不満も

菅首相に対する非難の声を出す人もいた。

とあるタクシー運転手は「オリンピックを通じて秋の総選挙の好材料にしようとしているようですが、とんでもない話です」とし、「菅さんはもう終わったと思います」と決心したように話した。

菅首相は“安全な五輪”を掲げているが、大会期間中には東京で1日当たりの感染者数が4000人を超えるなど、新型コロナの状況はさらに悪化している。

また、“外見だけ防疫”に対する不満も日増しに高まっている。日本政府は東京の防疫レベルを引き上げ、緊急事態宣言期間中に酒類を提供した飲食店を対象に、酒類の販売を禁止した。

休業に応じる店が誓約書を提出すれば、1日4万円の協力金が支給される。一方、休業に応じなかった飲食店に対しては過料が科されるが、これも微々たるものだ。

(写真=著者撮影)

零細業者は協力金を喜んで受け取って休業を選択するが、従業員数が多く規模の大きい居酒屋や食堂は、過料を甘受してまで夜遅くまで酒類と食べ物を提供する。

在日コリアンで本紙『スポーツソウル』の日本版編集長を務める慎武宏氏は、「日本は韓国のように(防疫と関連して)法で規定して厳格に管理せず、勧告の水準だ。そのため、新型コロナに対する敏感な感情の差も大きい」と述べた。

崩れた防疫の中でオリンピックを強行したものの、期待ほどの関心も向けられていない。むしろ、夜遅くまで営業する居酒屋や飲食店などもあり、新型コロナの感染拡大をあおっている状況だ。

これが、オリンピックを進行中の東京の現実だ。

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