サッカー韓国代表パウロ・ベント監督が、テストするだけではない。3月22日のボリビア戦は、彼もテストを受ける舞台となる。
韓国は優勝を目指して出場した1月のアジアカップで、ベスト8脱落という衝撃の結果に終わった。準々決勝でカタールに敗れたことは、単純な1敗ではなかった。2022年カタールW杯16強入りを狙う韓国サッカーにとって、その前途に疑問符が投げかけられた敗戦だった。
ベント監督への信頼は現在、大きく地に落ちた状態だ。ボリビア戦を通じて希望を見出し、FIFAランキング10位前後を行き来するコロンビアと好勝負してこそ、失われた信頼を取り戻すことができる。
ベント監督は、自らの哲学と変化の境界線に立たされている。彼は昨年9月の就任後、パスと占有率を重視した「後方ビルドアップ」サッカーを粘り強く推進した。9~10月の4試合でピッチを広く使い、両サイドを素早く行き来するサッカーで大きな拍手を受けた。“ベント・サッカー”は、コスタリカを2-0で下し、チリと0-0で引き分け、当時FIFAランキング5位のウルグアイに2-1で勝利して好発進した。
しかしアジアカップの5試合を苦戦しながら、カタールの一発で地に落ちた。毎回同じような戦術と選手起用、アジアサッカーへの無理解、ディテールのない作戦などが一度に指摘された。
ベント監督はアジアカップ以来となる今回のAマッチ2連戦で、変化を予告している。特に決定力不足を最優先課題とし、ツートップへの切り替えや攻撃的MFの果敢なシュートなどを注文すると考えられる。イ・ガンインに代表される若手選手を幅広く招集したのは、これまでとは違う選手起用をしたいという意思の表れだろう。
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ボリビアは南米で最もレベルが低いチームだ。FIFAランキングも60位で、38位の韓国より劣る。長距離飛行をしてきたので、時差や気候にも適応し切れていないコンディションだ。ボリビア戦は、変化と決定力改善の出発点になる。ベント監督の新しい覚悟を垣間見ることができる舞台だ。
ボリビア戦とコロンビア戦は単純な親善試合だが、ベント監督は軽い運動をした招集初日と練習開始20~30分以外は、非公開でトレーニングを実施した。3月20日の練習では、ソン・フンミンとチ・ドンウォンをツートップに起用して注目を集めたのが、それが今まで確認されたもののすべてだ。非公開で行われた練習中に何が起こったのかは、実戦で明らかになる。
ベント監督はアジアカップで、セットプレーを効果的に生かすことができなかったし、選手交代が形式的で相手に脅威を与えられなかった。さらに、ビルドアップに縛られてポストプレーが必要な場面でDFキム・ミンジェを上げるなど、臨機応変な対応に欠けたという批判を受けた。
ボリビア戦はアジアカップのように意味のあるAマッチではない。ベント監督は多様な選手を起用して、戦術への取り組みを軽視することもできる。しかし練習を非公開にしただけに、何を準備していたのかをボリビア戦で示す必要はある。ボールが動いているときよりも、ボールが止まったときにベント監督の実力が明らかになるだろう。
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