打者は投手が投げるボールをできるだけ長く見ようとする際、バッターボックスの後方へと下がる。ボックス長辺の長さがおよそ1.8メートルなので、下がるほどにボールを長く見られるという心理的な安定感を与える。しかし、打者によっては投手のタイプごとに打席に立つ位置を調整している。
今季FAで新球団のSSGランダースに入団したベテランのチェ・ジュファンは3月13日、蔚山文殊(ウルサン・ムンス)球場で行われたKTウィズとの親善試合で、初の2打席をそれぞれ異なる位置に立った。
サイドスローのコ・ヨンピョを迎えた1回の初打席では、ボックスの真ん中に左足を置いた。ストライドの幅などを考慮すれば、ホームプレートより前方でボールとバットがコンタクトする位置と言える。チェ・ジュファンはこの打席でライトフェンス直撃の二塁打を放っている。
チェ・ジュファンは、「トレーニングマッチでは、投手が投げるボールに対してタイミングなどの感覚を取り戻す時期なので、コーチングスタッフと相談して工夫しながら適応している」と話した。
SSGランダースのキム・ウォンヒョン監督は、「コ・ヨンピョがチェンジアップやカーブといった変化球が特徴的な投手なので、バッティングコーチがボックスの前目に立ったらどうかと提案していた」と説明している。
変化球は一般的に打者のヒッティングポイントで変化を始める。ヒッティングポイントを人為的に移す最も正確な方法は、打席の位置を変えることだ。球の変化前に攻略しようとする心理が作用する移動を促している。
そして読売ジャイアンツ2軍ヘッドコーチ、キム・ギテ氏の息子で、KTウィズの新人キム・ゴンヒョンは、投手のタイプを選ばず毎打席右足がボックスの前方に位置するよう立っている。
KTウィズのイ・ガンチョル監督はこのことに対して、「アメリカで野球をしていたため、ファストボールには自信があるからではないだろうか。投手の近くに立つというだけでもプレッシャーを与えることができる」と話していた。
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また、キム・ゴンヒョンは意味深な発言もしている。「ボックスの後方でヒッティングするとタイミングがズレるため、ライン際に飛んだ打球がファウルになる確率が高い」と話している。特に、ライナー性の打球を多く打つ打者にとっては、ラインギリギリでファウルになってしまう打球が少なくない。
キム・ゴンヒョンは、「ホームプレートよりも前でヒッティングすれば、その分左右に余裕が生じる。後ろから打った時はギリギリでファウルになる打球が、片足分前で打てばフェアになりうる。自分はパワータイプの大砲でも長距離打者でもないため、確実にヒットを打てるよう確率を上げるための選択」と説明している。
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