二度と“悲劇”が起こらないようにと発足された韓国「スポーツ倫理センター」、有名無実の実態

2020年08月29日 スポーツ一般

韓国スポーツ界に蔓延した人権侵害、不正などを総括するコントロールタワーとして発足された「スポーツ倫理センター」。多くの期待のなか、8月5日から業務を開始した。

しかし業務開始から3週間も過ぎたが、関連ホームページや部署別の電話番号すらないのが現状だ。電話番号案内サービスの「114」に電話をかけても、スポーツ倫理センターは確認できない。

【注目】倫理センター発足のきっかけ…「故チェ・スクヒョン事件」とは

つまりスポーツ選手らが被害を訴えようとしても、接触すらできないということだ。スポーツ倫理センターは統合申告と即時調査、迅速な措置など、人権保護の“ワン・ストップ・サービス”を掲げたが、今のところ有名無実といえる。

有名無実の「スポーツ倫理センター」

そもそも8月初めに発足されたスポーツ倫理センターは、設立推進団がすでに4月末から業務を開始していた。つまるところ事実上、発足から4カ月が過ぎようとしていながら、アイドリングしているだけの状況と見ることができる。

(写真=文化体育観光部)去る4月に行われたスポーツ倫理センター設立推進団の発足式

システムの整備を理由にこの間、大韓体育会や各種団体に寄せられた申告内容をまともに見ていない。9月上旬の正常稼働を予告していたが、疑問符がつかざるを得ない。

韓国文化体育観光部(部は日本の省に相当)傘下のとある体育団体関係者は、「スポーツ倫理センターから2カ月ぶりに連絡がきたのだが、前日に電話してきて今日会議しようというようなやり方だ。会議資料の準備も不足している。エクセルファイルで送ってきたのがすべてで、私たちが別途に作った。しかもスポーツ倫理センターは公文書を送信するとき、受信する体育団体の名称を間違って送ってくる。電話をかけようとしても、スポーツ倫理センターの内線番号がない。業務が混乱するだけだ」とし、スポーツ倫理センターに対する怒りを爆発させた。

別の団体関係者も、「スポーツ倫理センター側はまだ準備ができていないと主張し、人権侵害などについては私たちの方で継続して受け付けろと言ってくる」と不満げに明かした。

その被害を受けるのは選手たち

各団体から不満の声が上がっているにもかかわらず、スポーツ倫理センターの歩みは遅々として進まない。ソウル西大門(ソデムン)区に位置するオフィスで業務を開始してから3週間が経ったが、ホームページや内線電話だけでなく、電子文書システムも不能だ。

そのため傘下団体の関係者は、「現在の状況だけを見ると、スポーツ倫理センターが来月に正常稼働することを保証できない。発足当時は、なんでもできそうな様子だったが、何もできない状況だ」とため息ついた。

スポーツ倫理センターと各体育団体の不協和音が発生しているなかで、その弊害は、今現在さまざまな人権侵害や暴力に苦しんでいる“第2のチェ・スクヒョン”が被るしかない。スポーツ倫理センターが一日も早く、正常に稼働しなければならない理由だ。

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