いつも見るたびに、彼女はよく笑っている。つんとした表情の代わりに微笑むと、自然と結果もついてくるようになった。
韓国女子プロゴルフ界で“未完の大器”と呼ばれた長身ゴルファー、パク・ヘジュン(22)が念願の優勝を果たした。
パク・ヘジュンは7月3日から6日まで、仁川(インチョン)のベアーズベスト青羅(チョンラ)で行われた韓国女子ツアー「ロッテオープン」で通算17アンダーの「271」を記録し、優勝を飾った。
単独首位で最終ラウンドをスタートしたパク・ヘジュンは、前半までに2位と5打差をつけて優勝をほぼ手中に収めたかに見えた。ところが、4~5番ホール(ともにパー4)で連続バーディを奪ったあとはパーが続き、16番(パー4)ではボギーを叩いて2打差まで詰め寄られる展開となる。
加えて、最終18番ホール(パー5)では3打差で追っていたノ・スンヒ(24)がイーグル成功で1打差まで迫る。一方のパク・ヘジュンは2オンに成功し、37cmのバーディパットを残した状況だった。初優勝がかかったこの場面でのプレッシャーは相当なものだったが、彼女は落ち着いて沈め、堂々のバーディフィニッシュ。自力で初のトロフィーをつかんだ。
パク・ヘジュンは正規ツアー(1部)出場73試合目にして初タイトルを手にした。また、昨年創設されたパク・ヘジュンの所属チーム「斗山(トゥサン)建設We'veゴルフ団」としても初の戴冠となった。
2003年5月生まれの22歳で、丸顔かつ童顔の愛らしいルックスに177cmという恵まれた長身の持ち主であるパク・ヘジュン。ジュニア時代をオーストラリアで過ごした“海外組”である彼女は、ドライバーの平均飛距離が上位20位に入る244ヤード超の飛ばし屋で、韓国で彼女を応援するゴルフファンは多い。
2021年にKLPGAに入会してプロ転向し、翌2022年に正規ツアー昇格を果たしたが、その後シード権を失い、ドリームツアー(2部)へ降格する悔しさも経験した。ただ、2023年10月に「KLPGA ARTFINドリームツアー第16戦」でプロ初優勝を飾ると、今回の「ロッテオープン」で初となる“正規ツアー王者”の座を手にした。
「ずっと夢見てきた瞬間を迎えられて、幸せで嬉しいです」と語ったパク・ヘジュン。単独首位で最終日を迎えたのは今回が初めてで、「もうこれ以上、下がることはないと思っていました。前だけを見て、自信を持って、楽しもうと努力したことが良い結果に繋がったと思います」と振り返る。緊張をほぐすため、キャディーと冗談を言い合ったという“企業秘密”も明かしてくれた。
余裕を持って優勝するかに見えたパク・ヘジュンだが、途中で10ホール連続パーが続くなど苦しい流れもあった。バーディチャンスも度々ありながら、打数を減らすことに苦戦した。「パットがあまりにも入らないので、“一つだけでも(ホールに)落ちてほしい”という気持ちでプレーしました」と本心を明かす。
ただ、焦りはなかった。「先週のメッコール・モナ龍平オープンあたりから、調子が上向いているのを感じていました。キャディーも“いつか必ずチャンスが来る”と励ましてくれて、今回、そのチャンスが来たのだと思います」とパク・ヘジュンは語る。
「シーズン序盤の不調で自信を失っていました。2大会連続で予選落ちを喫した後、かつて一緒に練習したコーチのもとを再訪すると、“自信を持て”と言ってくださいました。そこでポジティブな考えだけをしようと努力したところ、結果がついてくるようになりました」
シーズン開幕時に掲げた目標は「2勝」。そのうちの1勝を早々に達成したパク・ヘジュンは、「初勝利したので、次の優勝を目指して落ち着いてプレーしていきたいです」と力強く語った。
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