検証のない制度変更は共倒れに向かうのみだ。特定の球団の利益のみを重視すれば、リーグ全体に混乱を招く恐れがある。ポストシーズン(PS)制度の変更は、特定の球団の利己主義によって行われてはならない。
韓国プロ野球KBOリーグに所属する10球団のオーナーは、2019年12月16日から17日にかけて1泊2日のワークショップに参加した。
この場ではFA制度変更はもちろん、PS制度の改善方案についても議論が行われた。
参加したKBO関係者は「PS制度変更については以前から話が出ていた。順位争いを活性化させ、シーズン終盤まで最善を尽くしてもらうようPS制度を変えようという思惑がある。オーナーたちはさまざまな案を提示した」と明かした。
議論では、日本のプロ野球を参考に、上位チームには1勝のアドバンテージを与える案も提示された。
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興行と収入の極大化のため、PS全シリーズを7試合4戦先勝の制度や、レギュラーシーズン優勝チームが韓国シリーズにストレートインし、2位と5位、3位と4位がシリーズ進出をかけて戦うトーナメント制も主張された。
オーナーたちの提案する改善案が理事会で承認されれば、今後韓国プロ野球のPS試合数は増加する。現行の144試合でも多いと現場から声が上がっているにもかかわらず、経営陣は試合数を増やすと話している。
韓国プロ野球では酷暑の時期に入ると観客数が減少傾向にあり、それを好況期と同等の水準に引き揚げようというのが制度変更の1つの意図だ。
一角では「6月まで好調だった観客数が7月から減り始め、その傾向は9月まで続く。ここを改善するために、PS制度の変更が検討されている」という声もある。
しかし、PS進出チームが決定以降は観客数が落ちるという一部の主張には、事実との矛盾がある。
観客数減少は順位争いが早期に決まるからではなく、規模の大きい球団の成績低迷がより直接的な影響を及ぼしているのだ。
総観客数が800万人を超えなかった2019年シーズンは、平均観客数の推移が7月は約1万499人、8月は約8700人、9月は約9100人となった。
KIAタイガースやロッテ・ジャイアンツ、ハンファ・イーグルスなどといった規模の大きい球団がそろって低迷したことで“週末のビッグマッチ”が実現しなかったのが、そのまま観客数低下に直撃したのだ。
今回のPS制度改善は、収益配当金を高めようという意図がありありと見える。各球団が神経を使うべきは、ファンの目を引くスタープレイヤーの発掘だろう。球団の投資と競争力がマッチしなければスターは生まれない。
野球ファンたちは思っている以上に合理的である。その事実を韓国プロ野球10球団の経営陣は忘れてはならない。
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