韓国や日本のように自国リーグが「春秋制」を採用する国ではなおさらだ。
「秋春制」が大多数の欧州主要リーグは、冬の移籍市場では即戦力補強や来季を見据えた獲得に乗り出すことが多い。一方、「春秋制」のリーグはシーズン開幕前に主力が離脱することになるため、簡単に手放すことは難しい。
特定の欧州チームと早期に交渉を行い、所属チームと交感を交わした“特別な場合”でなければ移籍の手続きを踏むことが難しいのがチーム側の言い分だ。反面、選手側の立場は確固たるもので、欧州から“ラブコール”を受けたのであればその時に行かなければならない。
カタールW杯で予備エントリーとして韓国代表に帯同したFWオ・ヒョンギュ(21、水原三星ブルーウィングス)が代表的な例だ。
オ・ヒョンギュはW杯で出場こそなかったものの、大会後にスコットランドの名門セルティックのラブコールを受けた。移籍金は200万ユーロ(日本円=約2億8267万円)で完全移籍が条件だ。近年で20代前半のアジア人選手に200万ユーロ以上を支払うチームはそう多くない。
ただ、現所属チームの水原三星(スウォン・サムスン)はオ・ヒョンギュが最低でも6カ月は残り、夏に移籍してくれることを望んでいる。オ・ヒョンギュを中心に攻撃陣を構成できるだけでなく、Kリーグのローカルルール「U-22選手義務出場規定」で起用できるからだ。
水原三星とオ・ヒョンギュは最近だけで二度も会い、未来について対話を行ったが、明快な答えは得られなかった。
オ・ヒョンギュは昨季Kリーグ1(1部)で自身初の二桁得点(36試合13ゴール)を記録した。身長183cm、体重72kgと頑丈なフィジカルを誇る彼は、得点力だけでなく、空中戦やフィジカルコンタクトでも頭角を現した。また、すでに軍隊チームの金泉尚武(キムチョン・サンム)で兵役も終えている。
セルティックがオ・ヒョンギュに賭けたのは、潜在力だけでなく兵役問題も解決しており、選手の価値が高いと確信を抱いているためだ。
FWチョ・ギュソン(24、全北現代モータース)も似たような状況だ。