先発の資格を証明するには十分なパフォーマンスだった。ウルグアイは試合序盤、予想よりも激しい韓国の攻撃の受けてDFラインを下げざるを得なかったが、そこで大きく貢献したのがナ・サンホだった。
ナ・サンホは右サイドで何度もキレのあるドリブルを見せつけた。特に、ウルグアイの左サイドバックを務めたDFマティアス・オリベラ(25、ナポリ)を相手に優れたボールコントロールとスピードのある突破を試みた。
攻撃面だけでなく、ナ・サンホは守備でも“2つの心臓”を持っていたかのようにピッチを駆け回った。前線からのプレスをはじめ、中盤ではMFイ・ジェソン(30、マインツ)をサポートし、2列目でハードな対人マークを見せ相手の前進を阻止した。
ナ・サンホの守備参加は、ウルグアイFWダルウィン・ヌニェス(23、リバプール)の活動範囲を狭めるのにも貢献した。
かつて2019年にJ1リーグのFC東京でプレーしたナ・サンホ。以降、城南(ソンナム)FCへのレンタル移籍を経て昨年にFCソウルへ完全移籍した後、今年8月に元韓国代表MFキ・ソンヨン(33)の後を継いでFCソウルの新キャプテンに就任した。
しかし、今季Kリーグ1(1部)では以前ほどのパフォーマンスを見せられず、チームも残留争いを強いられる苦しい戦いぶりで、ナ・サンホにはファンから多くの批判が寄せられた。
何より、低調ぶりが続くなかでも韓国代表に招集されてきたため、一部ファンからは「ナ・サンホに韓国代表の資格はあるのか」と疑問を呈されたほどだった。
それでも、ナ・サンホは最終盤で“覚醒モード”に転じた。チームのFAカップ決勝進出をはじめ、1部残留がかかった水原(スウォン)FCとのリーグ最終節では決勝ゴールを決めるなど、重要な局面で活躍を見せ復調を果たした。
シーズ終盤に取り戻した本来のコンディションが、自身初出場のW杯本大会につながった。
同じ1996年生まれの親友ファン・ヒチャンの穴を見事に埋めながら、自身に対する否定的な評価を消すことに成功した。
今後のグループステージ2試合では、先発であれジョーカーであれ、韓国代表に大きな力をもたらす存在となれそうだ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.