韓国野球委員会(KBO)は最近、技術委員会の構成に頭を悩ませている。というのも、今年9月に開催される杭州アジア大会に臨む野球韓国代表メンバーを選定するためだ。
KBO実行委員会(オーナー会議)は昨年12月、アジア大会に参加する野球韓国代表は、各球団からプロ3年目以下、満24歳以下の選手をチーム当たり最大3人を上限に選抜することを決定した。
杭州アジア大会に伴うプロ野球の中断もなく、年齢や経歴の制限のない3枠のワイルドカードで戦力を補強する方向にかじを切った。このほかに決まったことは何もない。
KBO幹部は、「ひとまず技術委員長を選任した後、技術委員会を構成し、代表メンバー選抜に関する内容を検討するだろう」と伝えた。来月中にも技術委員会を構成するという構想があるのみで、具体化したことは何もないというのが実情だ。
シーズン中に選手を派遣しなければならない球団側も、早くも懸念を抱いている。アジア大会が行われる9月は正規シーズン終盤の順位争いが始まる時点だが、ポストシーズン進出を狙う一部球団は、投打の主軸選手が離脱する可能性がある。
選手としては、アジア大会で金メダルを獲得すれば兵役特例の恩恵を受けられる点は魅力的だ。だが、肝心の所属球団が順位争いで遅れを取るとなれば、シーズン通しての奮闘が台無しになるリスクもある。韓国プロ野球KBOリーグの全10球団は、ポストシーズン進出を最も重要な価値と考えている。
そもそも、アジア大会を戦う代表メンバーをプロ選手で構成する必要があるのかという疑問符が付く。
“侍ジャパン”こと日本は、アジア大会を戦う代表をプロ選手ではなく全員社会人選手で構成する。台湾こそ最精鋭のメンバーを構成するものとみられるが、韓国も台湾に続く必要があるかは疑問だ。
かつては国際大会での競争力が韓国プロ野球の興行と直結するとし、最精鋭のメンバーで代表チームを構成していた。しかし、前回の2018年ジャカルタ・アジア大会以降、その大義名分が弱くなったことは事実だ。
ジャカルタ・アジア大会当時、韓国に3大会連続となる金メダルをもたらしたソン・ドンヨル監督は、「アジア大会3大会連続金メダルだったにもかかわらず、歓迎式すらなかった。金メダルセレモニーもできなかった。国家代表の監督として、金メダルの名誉と奮闘した選手たちの自尊心を守ってあげられなかったことに惨憺たる思いがある」とし、大会後に監督辞任の意思を明らかにした。
当時、国政監査でソン・ヘウォン元共に民主党議員が「アジア大会優勝がそれほどすごいことだとは思わない」と貶めたのが決定的だったということは秘密ではない。この影響は東京五輪でのメダル獲得失敗につながるなど、毎回選手選抜の議論が提起された。
そのため、今回のアジア大会からは、将来有望な選手に国際経験を積ませる機会を与えなければならないという声が高まっている。国内の萎縮したアマチュア野球を活性化させ、選手にモチベーションを与えるため、高校や大学の選手で代表を構成しようという話だ。そこにワイルドカードでプロ選手を加えれば良い。
コーチ陣もプロ監督出身者に制限する必要もない。代表チームの監督資格は「5年以上の指導経験があるか、スポーツ関連博士の学位を持っているか、2年以上の代表歴があるか、オリンピックやアジア大会でのメダル獲得経験がある野球専門スポーツ指導者2級以上の資格」を持っていることだ。
基準のなかに「プロでの指導経験」という条項はないため、アマチュア選手のパフォーマンスを最大限高められる人材を探し、選手のみならずコーチ陣も国際経験を積めるように配慮した方が良い。
プロはアジアプロ野球チャンピオンシップ、プレミア12、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)など複数あるが、アマチュアは国際大会の経験を詰める機会が少ない。
韓国プロ野球の次世代を担うホープを事前にチェックできるという意味でも、アジア大会は大学生を中心としたアマチュアチームで構成することが望ましい。
このようなメンバー構成であれば、「アジア大会優勝がすごいと思わない」という妄言も言われなくなるはずだ。
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