韓国野球委員会(KBO)は中継権の公開入札で、5年1100億ウォン(約110億円)という天文学的な入札額を引き出した。入札者は通信-ポータル連合(NAVER、カカオ、KT、LGユープラス、SKブロードバンド)だ。
以前に比べて2.3倍も高い金額で、収益も増大したわけだが、手放しで喜ぶことはできない。正確なビデオ判定のためには、テレビ局の協力が必要だからだ。
今回の入札でテレビ局連合(KBSNスポーツ、MBCスポーツ+、SBSスポーツ、SPOTV)が脱落したため、協力を求めるのが厄介な状況になってしまった。
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韓国で「ビデオ判読」と称されるこのシステムが導入されると、KBOは「ビデオ判読センター」を設立しており、今年は専用カメラを増やすなど機材の補完を行っている。しかし未だにインフラ面での限界は残る。
インフラと技術力で先行するテレビ局の協力が必要不可欠なわけだが、テレビ局からすれば、試合映像をKBOに提供する義務はない。昨年KBOはテレビ局との事前同意なしに、ビデオ判読中に電光掲示板にリプレイを表示させると発表したが、大きな反発を買った。
解決策は、2つある。
まず、テレビ局の協力がなくても正確なビデオ判定を行えるように、専用カメラやシステムをきっちりと構築することだ。メジャーリーグの場合、事務局がビデオ判定専用のネットワークを築いて、正確な判定に取り組んでいる。
KBOもカメラを追加する予定ではある。既存の一塁と二塁をカバーするカメラに加え、全球場に三塁とホームをカバーするカメラ2台を追加で設置することにした。費用は約3億ウォン(約3000万円)ほど。死角をなくすためにカメラを増やせば、その分コストも増えていく。
もう1つの解決策は、テレビ局からリプレイ映像を提供してもらい、正当な補償をすることだ。これまでは同業のよしみで協力を求めてきた。試合映像を撮影したのだから、その映像を使っても良いではないかといったスタンスが少なからず見えた。そんな慣習に頼ることなく、きちんと対価を支払う方法だ。
いずれの解決策にしても、必要なのは予算だ。どちらの解決策を選ぶにせよ、お金が必要になってくる。
投資は各球団が担うことになる。KBOが計画を立てても、各球団社長で構成された理事会が承認しなければ実践することができない。
KBOは今回の中継権の入札で、予算を膨らませた。収益は球団に戻る。振り返れば今回の入札結果も、KBOは方向性とガイドラインを提示しただけで、選択は球団が行った。そして最も高い金額を提示したのが、通信-ポータル連合だった。
KBOリーグの発展、そして共生のためには儲けただけの投資が必要だ。当面の利益のみを追求するのではなく、より大きな未来を見通す球団の慧眼と実践が求められている。
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