かつて“ネクスト・シャビ”と称されたU-23韓国代表MFペク・スンホ(24、ダルムシュタット)が非常に難しい状況に置かれている。
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ダルムシュタットでのドイツ生活を終え、Kリーグへの帰還を決心したペク・スンホ。Kリーグトップレベルの全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータース加入が目前に迫っていたが、現在は一歩後退した状況だ。
事実、全北現代はペク・スンホと水原三星ブルーウィングスの契約関係を無視して、獲得を強行することができない。「Kリーグクラブは、他クラブ傘下のユースチーム所属だった選手は迎え入れられない。元所属チームを脱退するか、同意を得なければ入団は不可能」という韓国プロサッカー連盟の規定があるためだ。
ただ、ペク・スンホと水原三星の契約は、この規定が設けられる以前のことだ。全北現代は、ペク・スンホが水原三星との問題を解決することが交渉再開の条件として挙げている。
結局この問題は、水原三星とペク・スンホの両者で解決しなければならない。水原三星は、2度にわたる契約違反をしてきたペク・スンホ側に、残念さを超える感情を吐露している。
水原三星は法的対応についても言及し、親企業の法務部による諮問まで終えたという。全北現代が手を引いたことで一旦落ち着いたかにも見えたが、直ちに権利を放棄することも望ましくない。力を入れているユースシステムを守るためにもそれが望ましい。
だからといって水原三星がペク・スンホを迎え入れる可能性も高くないというのが韓国サッカー界の見方だ。水原三星は今季の移籍市場でも大金を使わなかった。ペク・スンホの移籍金が9億ウォン(約9000万円)という点を考慮すれば、負担になるのは事実だ。
ひとまず、水原三星はペク・スンホの獲得についてはコメントを控えながらも、謝罪が先だという考えを示している。
ペク・スンホにとってはダルムシュタットに戻るのも1つの選択肢だ。ただ、ペク・スンホはすでに韓国内に入国しており、隔離期間などの影響で出場できない時間を過ごすことも考慮しなければならず、決断を下すのは容易ではなさそうだ。
たとえドイツへ帰ったとしても、後々Kリーグに戻るためには、結局のところこの問題がネックとなる。現時点では、水原三星の選手放棄同意書を受け取るか、2度目の合意書どおり水原三星に入団することがKリーグ復帰の可能性が高いシナリオだ。
ただ、ペク・スンホ側が留学支援費と損害賠償額が含まれた違約金を支払い、水原三星と円満に解決するのであれば、全北現代との交渉が再開される余地はまだ残っていると言える。
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