欧州組の代表エースでも新人ドラフト参加が必須?柔軟性欠く韓国女子サッカーリーグの規則とは

2020年07月04日 サッカー #女子サッカー

女子サッカー韓国代表のエースを務めるチ・ソヨン(29・チェルシーFCウィメン)は、いつか母国でプレーすることを望んでいる。

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チ・ソヨンは去る2010年にINAC神戸レオネッサに入団し、海外でプロ生活をスタートさせた。

日本では2013年までプレーすると、2014年からはイングランドのチェルシーFCウィメンに移籍。背番号“10番”を背負い、今も欧州の第一線で活躍を続けている。昨年にはチェルシーとの契約を2022年まで延長した。

本紙とのインタビュー中のチ・ソヨン

昨月の本紙『スポーツソウル』とのインタビューでは、「チェルシーで10年プレーしたい。UEFAチャンピオンズリーグで優勝し、このチームをもっと強くさせたい」とチームに対する愛情も示している。

では、目標である10年間のプレーを達成し、欧州生活を終えるときが来たら、チ・ソヨンはどのような選択をすることになるだろうか。

代表エースが新人ドラフトに参加?

彼女は将来、韓国女子サッカーのWKリーグでプレーすることを望んでいる。

「いつか必ず韓国の舞台に立ちたい。日本や欧州で長く生活したが、韓国では代表でしかプレーをしてこなかった。自分がプレーする姿を韓国のファンにもお見せしたい」と自身の考えを明かす。直近すぐには難しいとはいえ、“晩年を韓国で過ごす”意志は強く持っている。

仮にチ・ソヨンが韓国に来るとなれば、WKリーグの活性化や女子サッカーの認知度向上にも大きな助けとなり得る。

彼女は韓国女子サッカーの“看板”だ。復帰するだけでも大きな話題となり、多方面で少なくない影響を及ぼすだろう。

韓国代表でのチ・ソヨン

問題は、現在の韓国女子サッカー連盟の選手選抜細則だ。

規定によると、初めてWKリーグの実業団チームへ加入する場合、どの選手であっても新人ドラフトを経なければならない。選抜もクラブ側の指名を通じてのみ可能だ。

WKリーグにも自由契約(FA)の概念は存在するが、入団後3年にならなければその資格を得ることはできない。

新人ドラフトに参加すると年俸制限もなされる。1次指名でも、保証される年俸は最高3000万ウォン(日本円=約300万円)までだ。

チ・ソヨンは代表Aマッチ123試合に出場した韓国女子サッカー最高の選手だ。現状の規定では、名声に見合った待遇は受けられないだろう。

現在、チ・ソヨンはチェルシーでトップクラスの年俸を受け取っている。その規模は男子選手がプレーするKリーグ1(1部)でも上位グループのクラスで、韓国女子プロスポーツ選手の中では最上位のグループに入る。

彼女のWKリーグ加入時期が引退直前だったとしても、最高3000万ウォンではあまりに少ない。

韓国女子バレーの“女帝”と状況が類似

チ・ソヨンを取り巻く状況は、韓国女子プロバレーのVリーグに電撃復帰したキム・ヨンギョン(32)と似ている。

キム・ヨンギョン

キム・ヨンギョンの場合、海外進出時に発生した問題によって古巣の興国生命ピンクスパイダーズにしか戻ることができなかった。また、チーム年俸上限制(サラリーキャップ)によって受け取る年俸も海外のころより大幅に下がった。

彼女は最後にプレーしたトルコのエジザージュバシュで20億ウォン(約2億円)前後の年俸をもらっていたとされるが、韓国復帰のために3億5000万ウォン(約3500万円)への減俸に応じている。

具体的な事案や年俸水準が異なるとはいっても、チームを自分の意思で選べず年俸制限があるという点で、チ・ソヨンはキム・ヨンギョンと同じ問題に直面しているといえる。

こうした状況にはチ・ソヨン本人も悩んでいるようだ。「そのときになればいろんな問題で悩むことになるだろう」と話すが、「行きたい気持ちは確かに大きいけれど、自分の思い通りにすべてが進まないことも知っている。環境によって選択をしなければならない」と現実も冷静に見つめていた。

果たして将来、チ・ソヨンの母国電撃移籍が実現する日は来るのだろうか。

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