元Jリーガーのユン・ジョンファン(尹晶煥)監督が率いる江原(カンウォン)FCが、悲願のKリーグ制覇に迫っている。
江原の“ユン・ジョンファン・マジック”が絶頂に達している。宇宙の気運が江原に集まったかのように、ユン監督の意図が次々と的中するシーズンが続いているのだ。開幕前には誰も想像もできなかった“リーグ優勝”も、もはや夢ではない。
江原は8月18日、ホームの江陵(カンルン)総合運動場で行われたKリーグ1(1部)第27節の光州(クァンジュ)FC戦で3-2と勝利した。
前半で0-2とリードされる苦しい展開を強いられた江原だが、前半アディショナルタイムを皮切りに後半までに一挙3得点を挙げ、3-2の大逆転劇を披露した。
これでリーグ戦4連勝を記録した江原は、今季Kリーグ1全12チームで最も速く勝ち点50(15勝5分7敗)に到達し、単独首位をキープした。2位の金泉尚武(キムチョン・サンム/勝ち点46)とは4ポイント差、3位の蔚山(ウルサン)HD FC(勝ち点45)とは5ポイント差だ。
今季Kリーグ1は残り正規リーグ6試合、ファイナルラウンド5試合の計11試合だ。依然として熾烈な首位争いが続いているが、江原の勢いはそう簡単に収まる雰囲気はない。
何より、若手からベテラン、ベンチ要員まで、誰が出場しても選手のポテンシャルを最大限発揮させるユン監督の“無欠点指揮”が際立つ。
かつてJリーグでサガン鳥栖、セレッソ大阪、ジェフユナイテッド市原・千葉を率いたユン監督は、2023年シーズン途中から江原を率いている。
江原はユン監督体制において、アタッキングサードに多くの選手を置き、効率的に攻める戦術を敷いたことで、得点力に優れるチームに変貌した。
ただ、前半戦から良い流れが続いていたなか、主力の相次ぐ負傷や得点源だったブラジル人FWヤゴ(25)の突然の蔚山移籍なども相まって、後半戦は調子を落とすものと見られていた。
ところが、実際にはユン監督が代役として投入した選手が、従来の主力かのように自身の役割を果たしている。今夏新加入の外国籍選手も、早々にチームにフィットしている。特定の選手に依存しない健全な競争が繰り広げられ、状況に応じた采配で成果を出している。
前出の光州戦でも、MFユ・インス(29)とDFユン・ソギョン(34)の左サイドを突かれ早々に2失点すると、ユン監督は前半25分で2人を下げ、左サイドをMFチョ・ジンヒョク(24)とDFソン・ジュンソク(23)の2人に入れ替えた。
するこ、この交代によって試合の流れが代わり、前半アディショナルタイムと後半開始5分のクロアチア人FWフランコ・コヴァチェヴィッチ(25)の2得点に繋がった。そして後半29分、やはり途中出場のオーストラリア人MFヘンリー・ホア(25)が逆転弾を決め、チームに勝利をもたらした。
江原は選手一人ひとりの力量が最大限発揮されているのはもちろん、“体力”も今季Kリーグ1で最も強いチームと評価される。
来年のトッテナム加入が内定しているFWヤン・ミンヒョク(18)など、若手選手の活躍もチームを後押ししている。
蔚山や全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースなどのような企業を母体とする“企業クラブ”と異なり、地方自治体が運営する“市民クラブ”としては、前例のない快進撃であることは間違いない。
最近のリーグ統計を見ても、江原の優勝は決して夢ではない。
実際、近年のKリーグ1では、第27節終了時点で「勝ち点50以上」を記録したチームが最終的に優勝を果たしてきた。2022~2023年で2連覇を達成した蔚山も、同時期にはリーグ内で唯一勝ち点50を越えていた。昨季は勝ち点60、2022年は勝ち点58だった。
2017~2021年でリーグ5連覇を達成した全北も、第27節終了時点で勝ち点50を突破していた。ただし、2020年は新型コロナウイルスの影響でシーズンが縮小され、全27節での実施だった。
江原は昨シーズン、第27節終了時点で最下位に沈んでいた。当時は3勝11分13敗で、わずか勝ち点20にとどまった。
ところが、この1年間で同時期に勝ち点を「プラス30」も積み重ね、順位表でも真逆の首位に立つドラマを描いた。
なお、江原は勝ち点だけでなく、得点数も51得点とし、リーグ内で唯一50得点を越えている。
果たして江原がクラブ史上初のKリーグ1制覇を成し遂げるのか、引き続き快進撃を注目していきたい。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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