日本からのビール輸入大幅減の韓国で今起きていることとは?不買運動やコロナが追い風に

2021年05月02日 社会 #食品

韓国のアルコール飲料市場では、日本製品不買運動や新型コロナの影響に伴い、国産クラフトビールの人気が高まっている。

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韓国のビール業界は、家庭向けビール市場において国産のクラフトビールが、輸入ビールに代わって早いテンポで入れ替わっていると見ている。

国産クラフトビール市場が大きくなり、コンビニやスーパーなどの身近な小売店でさまざまなクラフトビールに簡単に接することができ、価格競争力を備えているという評価を受けているそうだ。

韓国では国産クラフトビールが隆盛

5月2日、韓国クラフトビール協会によると、2020年の国産クラフトビール規模は1180億ウォン(約118億円)だったという。2017年の433億ウォン(約43億3000万円)と比較しても、3年で2.7倍の成長を遂げている。

国内トップのクラフトビールメーカーは、済州(チェジュ)ビールで、売上げは2017年の22億ウォン(約2億2000万円)から、2020年は335億ウォン(約33億5000万円)へと15倍ほど伸びた。クラフトビール協会は、2023年には市場規模が3700億ウォン(約370億円)まで成長すると推定しているそうだ。

事実、韓国産ビールを脅かしていた輸入ビール市場が大幅に萎縮していることもわかった。韓国に対する日本の輸出規制後、日本製品の不買運動で日本のビール需要が急減した影響が大きかったと分析されている。

韓国関税庁の輸出入貿易統計を見ると、ビールの輸入額は2014年の1億1168万6000ドル(約111億6860万円)から2018年は3億968万3000ドル(約309億6830万円)にまで増加したものの、2018年をピークに減少を続けている。そして2020年は2億2685万9000ドル(約226億8590万円)となり、この3年間で26.7%も減少した。

アジアへの拡大も視野に

この数字を受け、韓国のクラフトビール業界は新製品開発への投資を加速させ、グローバル市場への進出を目指して努力している。済州ビールは東南アジア市場への進出のため、2022年を目標にベトナム法人の設立、および現地生産を準備しているようだ。

済州ビールは、2019年からベトナム現地のビールメーカーと流通会社の発掘のための投資を進めてきており、ベトナム国内のクラフトビール生産技術を保有するパートナー社と済州ビール製品を現地生産した経緯もある。

新型コロナ禍の現在は開発が中断された状態だが、2022年にはベトナム法人を設立して現地生産を本格化する計画だという。ベトナムを足場に東南アジア市場事業も拡大する予定だ。

(写真提供=BFGリテール)

クラフトビール市場の拡大に伴い、ロッテ七星(チルソン)飲料はクラフトビールクラスター事業を進めている。政府の規制緩和を受け、今年からクラフトビールのOEM(相手先ブランド名での製造)が可能になったからだ。2020年2月には済州ビール、クラフトビール事業関連パートナーシップを締結し、コンビニで人気のクラフトビール、セブンブロイの「熊表小麦ビール」も委託生産することとなっている。

麦芽も国内生産に

クラフトビール産業が発展すると、クラフトビール協会は輸入に頼ってきた麦芽を国内で生産し、これを活用して作ったクラフトビールを披露する計画だ。

かつて、国産麦でビールを醸造するプロジェクトは、済州島など一部で行われていたが、全国の醸造所が国産麦芽を使ったビールを作って一般に公開するのは今回が初めてのことだ。

群山(クンサン)市農業技術センターは、国内初の商業麦芽製造施設を構築し、麦芽を加工できるようになった。また同センターは、群山地域で栽培される麦の品種を麦芽に加工する施設(年間250トン規模)を構築し、今年の2月から麦芽完成品(群山麦芽)の販売を開始している。

パク・ジョンジン韓国自家製ビール協会長は、「今後、国産麦と麦芽を活用したビールを生産するための協力を拡大する計画」と述べた。

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