日本で今、最も勢いのあるコンテンツといえば『鬼滅の刃』だろう。
【画像】『鬼滅の刃』“パクり疑惑”の韓国ゲーム、キャラが似すぎ…サービス終了へ
週刊少年ジャンプで連載中の漫画で、2019年4月にアニメが放送されると人気に火がつき、コミック発行部数は今年2月時点で4000万部を突破した。あの『ONE PIECE』と並べられて語られるほどで、今最も子供も大人も注目しているコンテンツだといえるだろう。
そんな大人気の『鬼滅の刃』のゲームが4月24日、グーグルプレイに登場した。いや、正確には『鬼滅の刃』とはまったく関係ないのだが、一見すると『鬼滅の刃』にしか見えないキャラクターが登場するゲームだ。
その名も『鬼殺の剣』。タイトルまで類似しているが、開発したのは韓国のゲーム会社だ。
ゲームの基本的なストーリーは、「血と肉をむさぼる血鬼によって家族を失ったタツヤが、彼らを処断する鬼剣隊の一員となり、世界を救う物語」となっている。
『鬼滅の刃』の読者であれば説明が不要なほど、このストーリーが“本家”と酷似していることがわかるだろう。ストーリーに書かれている固有名を「タツヤ→炭治郎」に、「鬼剣隊→鬼殺隊」に置き換えれば、そのまま『鬼滅の刃』と同じストーリーになる。
主人公のタツヤが水属性の技を使う点も同じで、『鬼滅の刃』で炭治郎とともに戦う妹の禰豆子(ねずこ)をはじめ、善逸(ぜんいつ)にそっくりなキャラまで登場したらしい。イノシシの被り物をかぶった個性的なキャラ、伊之助すらも再現されていて、『鬼殺の剣』では狼の被り物をかぶっている。
当然ながら発表と同時に韓国でも大問題となり、多くのメディアが『鬼殺の剣』を取り上げた。
興味深いのは、その開発会社の態度が当初は強気だったことだ。
その開発会社は堂々と事前予約を進行するだけでなく、盗作といわれてもおかしくないゲームイメージを載せた報道資料まで配布したという。
さらに開発会社の代表は、韓国メディア『ノクセク経済新聞』とのインタビューを通じて「時代背景と着物などの着用衣装だけでパクりゲームとするのは無理がある」と話しており、パクリ疑惑を堂々と否定したのだ。
さらに『GameMeca』とのインタビューでも「鬼と戦うという設定とキャラクターが日本式の服装であるため、ユーザーが漫画(鬼滅の刃)に似ていると判断したようだ」と強調したのだがら、韓国のネットユーザーたちから猛反発と辛らつな批判を食らった。
その反発は数字にも表れた。グーグルプレイでの評価は最低点1.0点に迫る1.1だったのだ。最終的に4月29日10時付でサービスを終了。ゲーム発表から、わずか6日だった。
サービス終了の発表文には「私たちのゲームをめぐって起こった多くのイシューに対し、とても申し訳ないという言葉を伝えます。長く悩んだ末に、これ以上は運営を持続できないという結論に至りました」と書かれていた。
ただ、それも当然の結果だろう。ゲーム専門メディアによれば、舞台設定やキャラクターは『鬼滅の刃』に類似していたが、ゲーム自体も『ソードマスター・ストーリー』というゲームとほぼ同じ作りだったという。
つまりオリジナル要素はほとんどなく、一から十まで焼き直しのゲームだったというわけだ。
いずれにしてもサービス終了によって、“盗作騒動”は収拾されそうだ。盗作自体は決してあってはならないことだが、こんな大騒動が韓国で起きたのも『鬼滅の刃』人気のすごさを証明しているのかもしれない。
(文=慎 武宏)
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