崇められるほどの大人気から一気に奈落の底へ…韓国テレビ業界を牛耳る“スター専門家”のジレンマ

2023年07月29日 話題

シンドローム級の人気を集め、韓国の放送界を牛耳っていたスター専門家たち。しかし、あまりにも成功しすぎたことが毒にもなった。

【注目】スター専門家の“世界史番組”、「事実関係が間違っている」と指摘され窮地に

大きく愛されただけに大衆の“物差し”は非常に厳しく、一度背を向けられた人々の心は戻ってこないことが多い。

育児専門家として人気のオ・ウニョンが、先に転落した歴史専門家と似たような様子を見せ始めている。

教師の権威を失墜させた原因?

去る7月18日午前、ソウル瑞草(ソチョ)区の小学校で、とある担任教師が死亡したまま発見された。その教師が生前、保護者からのパワハラや苦情に苦しめられていたという疑惑が浮上し、モンスターペアレンツへの非難があふれた。

教師たちも行動するとし、教師の人権保護、教権の正常化、教師の処遇改善などを主張した。

胸の痛む話題であることは明らかだが、火の粉が遠いところに降りかかった。各種育児バラエティ番組を通じて見せてきたオ・ウニョンの育児観や訓育指導法などが、現実の教師の教権を失墜させたという指摘だ。

(写真提供=OSEN)オ・ウニョン

そのためオ・ウニョンのインスタグラムには現在、投稿と関係なく、社会への怒りを持った人々の非難のコメントが殺到した。

オ・ウニョンが思いがけない議論に巻き込まれたのは今回が初めてではない。

昨年12月に放送された『オ・ウニョンレポート:結婚地獄』(MBC)に出演した男性は、再婚した妻と連れ子に対する養育観の違いで、葛藤が生じていると訴えた。さらに妻が自分を児童虐待と通報したこともあると、悔しさを吐露した。

放送でもその男性が7歳の連れ子の娘が拒否しているにもかかわらず、お尻をつつき、抱きしめ、くすぐったりするなど、いたずらする姿が公開された。娘は彼を「新しいパパ」ではなく「おじさん」と呼び、激しいスキンシップに対して「やめてください」「嫌です」と強く拒否の意思を表わした。

最終的にこの放送は、児童への性的虐待議論にまで広がってしまった。議論が大きくなるや制作陣は「ソリューションを提供し、実質的な助けを与えようとした。だが夫婦の問題点の分析だけに集中したあまり、視聴者の方々が憂慮しうるシーンが放映されることを細かくチェックできなかった」と、編集について謝罪の意を伝えた。

(画像提供=MBC)『オ・ウニョンレポート:結婚地獄』

ただしオ・ウニョンに対する苦言は減らなかった。「あなたは(児童虐待)申告義務者です」「あなたのような最高権威者があれほど助けてほしいと絶叫する子供に対して沈黙し、触覚が敏感だなどというフレームをかぶせたのは、子供に絶望を抱かせる行為」など、オ・ウニョンの相談と分析、その家族に対するソリューションを非難した。

まさに放送界を牛耳る勢いだったオ・ウニョンだったが、この一件で危機論が浮上。最終的に彼女は『オ・ウニョンゲーム』(ENA)のインタビュー中、「自分の意図がそうでなくても、その放送を通じて多くの方々が不便だったとすれば、今後さらに良い内容でお会いできるように努力しなければならないと思う。申し訳ない」と謝罪した。

先に転落したスター歴史専門家

オ・ウニョンの騒動の前は、ソル・ミンソクが渦中の人物だった。

ソル・ミンソクは檀国大学校演劇映画科を卒業し、延世大学校教育大学院で歴史教育学修士号を取得。2002年から韓国史講師として活躍し、2012年からは『勉強の極意2』(tvN)で放送活動を始めた。2013年には『無限挑戦』(MBC)に出て、全国区のスター講師に急浮上した。

(写真提供=OSEN)ソル・ミンソク

その後、彼は『ソル・ミンソクの十長生韓国史』(KBS)、『一線を越える奴ら』(MBC)、『本を読んであげます』(tvN)を通じて、歴史をわかりやすく解説して視聴者を魅了。芸能科出身らしい華麗なトーク術と極端な表現は彼のトレードマークとなり、2019年には『一線を越える奴ら』でMBC放送芸能大賞バラエティ部門特別賞を受賞した。

2020年12月には自身の名前を掲げた『ソル・ミンソクの裸の世界史』(tvN)が放送を開始。ところが、第2回で問題が生じた。「クレオパトラ編」が放送されると、エジプト考古学者のクァク・ミンスがSNSを通じて「事実関係自体に誤りが多すぎて一つひとつ言及するのが難しい状況」と公開的に非難したのだ。

制作陣とソル・ミンソクは一部の誤りを認め、「私がたくさん不足していて生じた部分のようだ。これからは皆さんの言葉をもっときちんとやれという叱咤だと思い、より誠実で、より熱心に準備するソル・ミンソクの姿をお見せしたい」と謝罪した。

すると今度は、論文の盗作疑惑まで浮上。2010年にソル・ミンソクが延世大学教育大学院で修士号を取得した論文「韓国近現代史教科書叙述に現れた理念論争研究」の盗作率が、52%に達したとの報道が出たのだ。そのメディアは「ソル・ミンソクの修士論文に含まれた文章747文のうち、100%の盗作率を記録した文章は187文、盗作疑惑の文章は332文」と指摘した。

(画像=MBC)様々な番組で活躍したソル・ミンソク(上)

するとオンラインコミュニティを中心に、ソル・ミンソクの過去発言の中に誤りがあったことが指摘され始めた。あまりにも様々なところで活躍していただけに、韓国史、世界史、「三国志」の講演などで出てきたソル・ミンソクの誤った発言が再注目され、批判の声がさらに大きくなった。

最終的にソル・ミンソクは、「修士論文の盗作事態で多くの方々に不便と心配をかけて申し訳ない。頭を下げて謝罪する。弁解の余地のない私の過ちだ。教育者として、歴史を勉強する者として、安逸な態度で臨んだことを改めて深くお詫びする。私に送ってくれた過分な期待と信頼に及ばず、惨憺たる心情」とし、すべての番組から降板した。

現在、批判の目で見られているオ・ウニョンがソル・ミンソクのように転落していくのか、注目したい。

(記事提供=OSEN)

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