もともと『ザ・グローリー』は、『太陽の末裔』の大ヒットを率いた脚本家キム・ウンスクと女優ソン・ヘギョが再会する作品として、早くから関心を集めた作品だった。
校内暴力で魂まで壊れた一人の女性が生涯をかけて緻密に準備した徹底した復讐劇だ。これまで甘い“文章”で主にロマンスジャンルに特化していたキム・ウンスクが、今回の作品を通じて凄絶な復讐劇を見事に描き出し、俳優たちの新しい顔を引き出して好評を博した。
そのなかでもイム・ジヨンが強烈な存在感を示している。セリフの一つひとつ、身振り、小さな笑みまで、鳥肌が立つほど悪辣な悪役を十二分に消化した。
言葉遣いから声、行動一つひとつといった細かいディテールまで生かした、ひどい悪人だった。たしかな演技力で表現されたキャラクターの“パク・ヨンジン”は、まさにイム・ジヨンの人生キャラクターとなった。
劇中、パク・ヨンジンは学生時代のムン・ドンウン(演者ソン・ヘギョ)へのいじめや校内暴力を主導する人物だ。金持ちの家に生まれてやりたいように生き、足りないこともなく育ち、気兼ねなく校内暴力を主導する。いじめの加害者になっても処罰を受けることも、記録に残ることもなかったため、ムン・ドンウンをひどく苦しめる人物だ。
そして好きなものをすべて得て生きてきたが、ムン・ドンウンの復讐と向き合い、ますます理性を失い、さらに暴走する。あの頃、ムン・ドンウンを殺せなかったことを後悔しながら。反省がまったく見られない、悪そのもののキャラクターだ。
イム・ジヨンは今回の作品で初めて見せる表情を見せ、完成度の高い演技で存在感を確実に表わした。初登場から鳥肌が立つ笑いで悪寒を与え、毒舌で凍りつかせる。瞬く間に表情を変える姿も恐ろしい。
イム・ジヨンはこのひどい悪役を細心に表現し、これまで大衆に見せてきた顔を消し、完全に新しい顔を印象付けること成功した。再発見の成功例となった。
イム・ジヨンのしっかりとした演技は、俳優としての彼女を新しく発見させてくれた。『ザ・グローリー』以前にも映画『情愛中毒』『背徳の王宮』『LUCK-KEY/ラッキー』『タチャ ワン・アイド・ジャック』『スピリットウォーカー』、ドラマ『上流社会』『テバク~運命の瞬間~』『ウェルカム2ライフ~君と描いた未来~』など、様々な作品に出演したイム・ジヨンだ。
しかしイム・ジヨンの存在感や演技力を強く刻印させた作品はなかった。そんな彼女にとって『ザ・グローリー』は間違いなく人生作品、人生キャラクターになった。
(記事提供=OSEN)
◇イム・ジヨン プロフィール
1990年6月23日生まれ。2011年に女優デビュー。2014年にソン・スンホン主演映画『情愛中毒』で一糸まとわぬ果敢な熱演を見せて、注目を集めた。以降、ドラマ『上流社会』(2015)、『吹けよ、ミプン』『テバク~運命の瞬間(とき)~』(2016)、映画『タチャ ワン・アイド・ジャック』(2019)などに出演。2022年12月公開のNetflix『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』で主人公を苦しめる悪役“パク・ヨンジン”を演じて視聴者に深い印象を残し、注目度が急上昇した。
■【写真】「トラウマになる」『ザ・グローリー』の“悪役”女優たち