勝利したは良いが、ワンパターンだった。明らかに改善しなければならない部分だ。
ファン・ソンホン監督率いるU-23韓国代表は、4月17日(日本時間)にカタール・ドーハのアブドゥッラー・ビン・ハリーファ・スタジアムで行われたU-23アジアカップ・グループB第1節でUAEに1-0で勝利した。
今大会はパリ五輪出場がかかった重要な大会だ。最低でも4位以内に入らなければパリ五輪の切符は確保できない。3位以内であれば本大会ストレートインし、4位の場合はアフリカ4位ギニアとの大陸間プレーオフに進む。
グループBの韓国はUAE、中国、日本と決勝トーナメント進出をかけて争う。UAEには苦戦を強いられたものの1点差で勝利し、ひとまず1位タイに浮上した。
同日行われた日本対中国は、前半早々にDF西尾隆矢(22、セレッソ大阪)の一発退場で数的不利となった状況でも、日本がMF松木玖生(20、FC東京)の決勝点を死守し1-0で勝利した。
第2節では韓国が中国、日本がUAEと対戦する。
韓国サッカーは2016年リオ大会で世界初の8大会連続五輪出場新記録を打ち立て、前回の2021年東京五輪で記録を9回に伸ばした。
そして今回、パリ五輪の出場権も確保することができれば、1988年ソウル大会から続く連続出場記録をを10回に増やすことになる。
今大会により多くの関心が集まる理由もそこにある。韓国は“ライバル”日本はもちろん、中東のダークホースUAE、さらには中国までグループ内で相手にしなければならない。どこも簡単な相手とは言えない。
だが、韓国は大会直前まで海外組の招集問題が続き、懸念を集めることとなった。
というのも、当初メンバーに含まれていたMFヤン・ヒョンジュン(21、セルティック)、DFキム・ジス(19、ブレントフォード)、MFペ・ジュノ(20、ストーク)の3人が、いずれも所属チームの招集拒否によって合流不可能となったのだ。
結局、彼らの代替選手には国内組が招集。海外派はデュッセルドルフⅡのMFキム・ミヌ(22)と米MLSのミネソタ・ユナイテッドでプレーするMFチョン・サンビン(22)の2人のみだ。
特に、ペ・ジュノはストークの2月と3月のクラブ月間MVPに選出されるなど好調ぶりを見せていただけに、合流失敗がさらに残念でしかない。
UAE戦でファン・ソンホン監督は4-3-3のフォーメーションを敷いた。
前線3枚はMFホン・シフ(23、仁川ユナイテッド)、FWアン・ジェジュン(23、富川FC 1995)、MFオム・チソン(21、光州FC)が並び、中盤はMFカン・サンユン(19、水原FC)、MFイ・ガンヒ(22、慶南FC)、MFペク・サンフン(22、FCソウル)が組んだ。
4バックは左からDFチョ・ヒョンテク(22、金泉尚武)、DFピョン・ジュンス(22、光州FC)、DFソ・ミョングァン(21、富川FC 1995)、DFファン・ジェウォン(21、大邱FC)。ゴールマウスはGKキム・ジョンフン(22、全北現代モータース)が守った。
ただ、主力の空白が明らかに感じられた90分間だった。韓国はペ・ジュノやヤン・ヒョンジュンなどのような創造性のある選手の不在によって、攻撃をまともに展開することができなかった。
結局、サイドバックやウィングなど、サイドからの攻めやクロスに依存するしかなかった。
実際、前半の“幻のゴール”もクロスから始まった。前半18分、ファン・ジェウォンのミドルシュートがポストに直撃し、跳ね返りに反応したカン・サンユンが右サイドからグラウンダークロス。これをアン・ジェジュンがヒールキックで流し込んだが、VARの結果カン・サンユンのポジションがオフサイドであるとされ、得点取り消しとなった。
その後もボールを保持し続けた韓国だが、パスで中央からゲームを組み立てるというよりは、主にサイドからのクロスに終始した。
特に、後半開始と同時にアン・ジェジュンとホン・シフを下げ、193cmの長身FWイ・ヨンジュン(20、金泉尚武)、ドリブラーのMFカン・ソンジン(21、FCソウル)を投入してからは、空中戦への依存度がさらに強くなった。ただ、クロス主体の攻撃を続けていた韓国だが、シュートまでつながることはほとんどなかった。
加えて、後半21分にイ・ガンヒ負傷で試合がしばらく中断。結局、キム・ミヌを代わりに投入し、後半28分にはオム・チソンを下げてMFホン・ユンサン(22)を投入した。後半32分にはチョ・ヒョンテクに代えてDFイ・テソク(21、FCソウル)を送り出して攻勢を強めた。
だが、もどかしい流れは続いた。後半43分には再び得点がオフサイドで取り消された。今回もクロスからヘディングシュートというパターンだった。カン・サンユンが上げたクロスをカン・ソンジンがヘディングで押し込んだが、またしても取り消しに泣いた。
不安な流れが続いたが、それでも“ワンパターン攻撃”が一度は通じた。
アディショナルタイムとして12分が与えられると、同4分、コーナーキックからイ・テソクが上げた正確なクロスにイ・ヨンジュンがヘディングで合わせ、値千金のような決勝ゴールを決めた。試合はそのまま1-0の勝利で終了した。
ある意味、ワンパターンが通じて勝利したと言えるが、さらにレベルの高いチーム相手には通用しないだろう。
何より、UAEのカウンターの完成度が低かったために勝利を得られることができたが、日本のようなチームとなれば、今回のような攻撃では通用しないだろうという疑問が生じる試合だった。
(記事提供=OSEN)
前へ
次へ