まず、法を破った初めての事例という点に注目しなければならない。
チャン・ヒョンスとともにアジア大会で兵役を免除された選手は全員、兵役法が改正される前に基礎軍事訓練を受けた。そのため、ボランティア活動をしなくてもよかった。しかし、チャン・ヒョンスは所属チームと自らの個人的なスケジュールの関係で、彼らよりも遅れて訓練を消化し、ボランティア活動までしなければならなくなった。
現在、チャン・ヒョンスのように兵役が免除されている選手はほかにもいる。今年のジャカルタ・アジア大会で金メダルを獲得した選手たちもそうだ。今後も五輪やアジア大会で恩恵を受ける選手たちが現れるだろうが、チャン・ヒョンスの例が彼らに影響を及ぼす恐れがある。
今回、重い処分が下されたことによって、ほかの選手たちはチャン・ヒョンスの前例を見て警戒心を持ち、法的な義務を誠実に遂行していくことだろう。事実、厚生委員会のソ・チャンヒ委員長は、「今後、同様の事例が発生しないように、警告の意味を込めて、多少重いと思われる処分を下すことを決めた」と話した。
もう一つの理由は、韓国国民の感情に反する兵役関連の問題だということだ。
韓国において兵役問題は、どんな事案よりも敏感で重大な問題である。ある芸能人は、およそ20年前に浮上した兵役問題によって、いまだに韓国に帰れずにいる。
最近は、韓国サッカーが盛り上がっている。9~10月の国際Aマッチ4試合はチケットが完売するほど大きな人気を集めている。そんななかで起こったチャン・ヒョンスの兵役問題は、代表チームに悪影響を及ぼす恐れがある。
協会は、最大限の厳しい処分を下し、国民感情にしたがわざるを得なかった。仮に軽い処分が下されれば、激しい非難が寄せられる可能性が高かった。