五輪メダリストも“公正”訴えるドロ沼…韓国スケート界で「不可解なコーチ選抜」が物議、一体何が?

五輪代表選手も多数擁する韓国の城南(ソンナム)市庁スケートチームの「不可解なコーチ選抜」が物議を醸している。

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スピードスケート・ショートトラックのコーチや監督として十分な実績を持つアン・ヒョンス(ロシア名:ヴィクトル・アン)とキム・ソンテの指導者2人が志願したにもかかわらず、最終的に落選してしまったからだ。

城南市は1月31日午前、ホームページで「職場運動部団員(コーチ、トレーナー)公開採用最終合格者公告」を公開した。ところが、スケートチームは「合格者なし」と記載されていた。

これは同日未明、北京五輪金メダリストのチェ・ミンジョン(24)をはじめとする城南市庁スケートチーム所属選手6人が、「公正かつ透明に所属チームのコーチを選抜してほしい」という訴えをSNSを通じて明らかにことにも影響を受けたと見られる。

選手の切実訴え「外部の影響力による選抜ではなく…」

チェ・ミンジョンがSNSで公開した「コーチ採用に対する選手の立場」の内容は次の通りだ。

「現在、我々スケートチームは監督とコーチがともに空席のなかで、コーチ公開採用の過程であることを知っています。我々は今回のコーチ選抜過程が、外部影響力による選抜ではなく、何より公正で透明に行われなければならないと思います」

「城南市庁スケートチームは、元代表含め現代表選手を最も多く保有するチームです。このように素晴らしいチームを率いるためには、志願者のなかでコーチ、監督の経歴が最も優秀で、力量が優れ、疎通が可能なコーチが来なければならないと思います。そのために、関係者の方々に助けていただきたいという切実な気持ちです」

「いつも多くの支援に感謝しています。城南市所属選手として良い成績で応えます」

この立場発表では、チェ・ミンジョン含む選手6人全員が署名を行っていた。チェ・ミンジョンはSNSでの公開とともに、キャプション内で自身の率直な思いを綴っている。

チェ・ミンジョン

「私は事実上、所属する城南市庁にショートトラック専門コーチがいない状況で長い間練習をしてきました。私と城南市庁所属のショートトラック選手が考えるスポーツにおける指導者の徳目は、立場分で明らかにしたように、指導者経歴が優秀で力量が優れており、選手たちとよく疎通できる方だと思い、そのような指導者がともにしてくれることを切に願っています」

「選手がどんな指導者を望んでいるという立場分を出すというのは、あまりにも慎重で生意気に見えますが、それでも勇気を出した理由は、ここ最近、城南市庁コーチ選任をめぐって出てくる記事や話によって、指導者の最も重要な存在理由、徳目が後回しにされていて、社会的なイシューが主であることに対し、選手たちが残念な気持ちを持っていたからです」

「城南市庁ショートトラック選手が望むのは、トレーニングと協議に最善を尽くせる状況になること、それ以上でもそれ以下でもありません。最後のオリンピックになるかもしれない2026年ミラノ五輪で、これまでと違って後悔のない姿をお見せしたいです」

指導者連盟の“公開批判”

こうした選手たちの訴えに先立ち、韓国氷上指導者連盟は城南市庁スケートチームのコーチ志願者面接翌日の1月13日、アン・ヒョンスとキム・ソンテの2人を具体的に名指しして、次のような声明書を発表していた。

「城南市の職場運動部ショートトラックコーチ公開採用過程を見ると、憂慮される点が一つや二つではない。ロシア人のヴィクトル・アンと、キム・ソンテ・コーチなどが志願したという」

「この2人は懲戒と論議で国内指導者活動が難しくなると、自粛する方式の代わりに、(2022年)北京冬季五輪のときに中国代表を引き受ける選択をしたことがある」

「職業選択の自由は保障されなければならないが、職業選択の自由がスポーツの最優先価値である公正を超えることはできない」

「城南市は韓国スケートのメッカだ。国民の目線に合ったコーチを選任し、韓国スケートが再び国民の信頼を回復し、一段階進むことができる踏み台にならなければならない。議論が起きれば嘘をついてでも刹那の瞬間を免れ、公正の代わりに私益を取ることはまともな指導者の姿ではない」

「成績も重要だが、今の韓国スケートの必要なのは、国民の信頼回復だ」

渦中のキム・ソンテ、アン・ヒョンスは何者か

かつて2008~2010年にショートトラック日本代表コーチも務めたキム・ソンテは、2018年平昌五輪でショートトラック韓国代表監督を務め、金メダル3枚(男子1500m、女子1500m、女子3000mリレー)と優れた結果を残した人物だ。

ところが、当時の代表内で男性コーチによる女性選手への性的暴行が発覚し、キム・ソンテも連盟から資格停止1年の処分を受けた。

結局、韓国代表監督の座を降りるしかなくなったキム・ソンテは、その後ライバル国の中国からラブコールを受け、2019年にショートトラック中国代表の監督に就任。2022年北京冬季五輪では判定問題もあったが、金メダル2枚、銀メダルと銅メダル各1枚を獲得し、大会後に退任していた。

韓国代表監督時代のキム・ソンテ

また、アン・ヒョンスも現役時代、2006年トリノ五輪で韓国代表として金メダル3枚を獲得。その後ロシアに帰化し、「ロシア代表ヴィクトル・アン」として出場した2014年ソチ五輪では金メダル3枚を獲得するなど、輝かしい実績を築いた選手だった。

2020年の現役引退後は指導者に転身し、ショートトラック中国代表の技術コーチに就任。キム・ソンテ監督とともに中国のメダル獲得に貢献した。

現役時代のアン・ヒョンス

ただ、韓国ショートトラック界でも屈指の経歴を持つキム・ソンテとアン・ヒョンスが、指導者連盟の“公開批判”の影響もあってか、城南市庁スケートチームの公開採用で落選。これと関連し、チェ・ミンジョンら選手が「公平」を訴えた形だ。

なお、今回の城南市庁スケートチームのコーチ募集にはアン・ヒョンスやキム・ソンテのほか、スケート選手や指導者で構成された組織「若い氷上人連帯」のヨ・ジュンヒョン代表など計7人が志願していたことがわかった。

ただ、彼らもすべて落選、すなわち「合格者なし」という結果に終わった。城南市庁スケートチームのコーチ採用問題をめぐる議論はこの先も深まる見通しだ。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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