キム・ヨングォンはこれまでFC東京、大宮アルディージャ、広州恒大(現・広州FC)、ガンバ大阪と、日本や中国でキャリアを積み上げてきた。そして昨シーズン、蔚山現代を通じて初めてKリーグの舞台に足を踏み入れた。
Kリーグ初挑戦ながら、韓国代表センターバックらしく安定した守備力とビルドアップで蔚山現代のDFラインを陣頭指揮した。
しかし、シーズン中盤にはコンディション低下や軽微な負傷により、優勝争いのライバル全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースとの”現代家ダービー”を含め、一部の試合でミスを犯した。冬季開催のカタールW杯の影響でリーグ戦の日程が過密化したことにより、本来のフォームを取り戻すのに困難を強いられた。
それでも、長年の経験を基に試練を乗り越えた。キム・ヨングォンはシーズン後半の国際Aマッチ期間に負傷で代表メンバーを外れた際、十分な休息と回復、イメージトレーニングでコンディションを取り戻し、蔚山現代の優勝と韓国代表のW杯ベスト16進出に大きく貢献した。
現役時代に名DFと呼ばれ、現在は蔚山現代を率いるホン・ミョンボ監督は、キム・ヨングォンがKリーグ2年目も成功を収めるにはより強度の高い練習と準備が必要だと助言した。
ホン監督は「キム・ヨングォンは海外リーグにいた際、広州恒大など優勝圏のチームで主にプレーしていた。(所属チームより)強い相手と試合をした経験がそれほど多くない。Kリーグはどのチームもタイトで強い。昨年にたくさん感じただろう」とし、「年齢面も考慮して、(Kリーグで活躍するには)そのような点を念頭に置いて体を作り、長所を活かさなければならない」と強調した。
キム・ヨングォンは2023シーズンに向けた春季キャンプ期間、今までより強度の高いトレーニングプログラムを受け入れる構えだ。ベテランとして、後輩の前で良いパフォーマンスを見せなければならないという責任感を持っている。また、自らの師匠であるホン監督のように、“夢”でもあるW杯4大会出場のためにも現時点の準備が未来を左右する。
キム・テファンも必死だ。カタールW杯では33歳にして初めてW杯メンバー入りの悲願を達成したが、グループステージからベスト16まで1試合も出場することができなかった。元々勝利への欲が強い正確なだけに、W杯のピッチに立てなかった悔しい思いを周囲の人々も感じたという。
現在は所属先の蔚山現代に復帰し、新シーズンに向けて準備を進めているが、当時の虚しい気持ちは今も拭えていないに違いない。
しかし、ホン監督の助言を受けて再びスパイクのひもを強く結ぶ。ホン監督は「W杯に参加してもプレーできなければ大きな失望感が残る。それでも、その舞台を踏んだこと自体が認められたということではないだろうか。ベテランなのだから、自らどう対処して進むべきかはわかるだろう」と激励した。
W杯出場の夢は叶わなかったが、気持ちの良い成長痛であり、新たなモチベーションにもなっている。キム・テファンは春季キャンプ中、笑顔を取り戻した“成熟したリーダー”に生まれ変わっている。
なお、蔚山現代は2023シーズンのKリーグ1開幕戦でライバル全北現代と対戦する。試合は来る2月25日14時、ホームの蔚山文殊サッカー競技場で行われる予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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