言い訳や責任転嫁はしなかった。「私がもっとよく投げるべきだった」というのが、歴史的な瞬間を迎えても笑えなかった“コリアンモンスター”の弁明だった。
柳賢振(リュ・ヒョンジン/ロサンゼルス・ドジャーズ)が、韓国人メジャーリーガーとして史上初めてワールドシリーズの舞台に先発登板した。
柳賢振は10月25日(日本時間)、フェンウェイパークで行われたボストン・レッドソックスとのワールドシリーズ第2戦に先発登板し、4.2イニング4失点で敗戦投手となった。1失点後、5回裏2死満塁の場面でマウンドを降りたが、交代したライアン・マドソンが走者をすべて生還させ、柳賢振の失点は大幅に跳ね上がった。
惜しい投球だった。2回に1アウトを奪うとザンダー・ボガーツに2塁打を打たれ、2アウトの場面で連続安打を許して1失点したが、4回まで渾身の力投を見せた。ドジャース打線が4回表に犠牲フライとタイムリーヒットで2点を奪い、逆転に成功すると、4回裏には2つの三振を奪い、完璧に相手を封じ込めた。
勝利投手の要件を満たせる5回裏、2死の場面でクリスティアン・バスケスにライト前安打を打たれた後、危機を迎えた。ムーキー・ベッツにヒットを許し、1、2塁の危機に追い込まれた柳賢振は、アンドリュー・ベニンテンディに四球を出し、マウンドを降りた。
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督の未熟な試合運用と流れを適材適所で切ることができなかった“無戦略”に、韓国人メジャーリーガー初のワールドシリーズ先発登板は虚しく幕を下ろした。
悔しさが大きいと思いきや、柳賢振は試合後のインタビューで、「私がもっとよく投げていれば抑えられる状況だった。ボール判定より私に運がなかったと思う。四球を出したのが一番悪い部分だ」と淡々と話した。
また柳賢振は、「投球数も多くなく、思ったより寒さも感じなかった」とし、コンディションに大きな問題はないと語った。
決定的な危機の場面で交代されたことを残念には思っていないのだろうか。柳賢振は、「ベンチの考えがあったのだろう。相手の中心打線につながる場面だったので、交代したのだと思う。選手が受け入れるべき部分だ」と、毅然とした表情を見せた。
ドジャースは衝撃の2連敗を喫し、ホームのドジャーススタジアムに帰る。柳賢振が第6戦に再び登板できるかどうかも、ホームで行われる3試合の結果によって決まる。
柳賢振は、「多く勝たなければならない状況だ。しかし、これからホームへ戻るため、選手たちもより良い試合ができると思う。私も準備を整え、次の登板ではチームが勝てるよう投げなければならない」と、ワールドシリーズが長期レースになることを願った。
また柳賢振は、「韓国人として初めてだからではなく、野球選手なら誰もがワールドシリーズの舞台を踏みたい。ここで先発投手として投げられるのは大きな光栄だ。今日、多くの方々が応援してくださったが、期待に応えられなかった。次の登板ではより良い姿を見せることができるよう、徹底的に準備する」と覚悟を語った。
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