五輪9連覇達成の韓国女子アーチェリー、「紙一重の競争」が築き続ける“世界最強神話”

「オリンピックチャンピオン、コリア!」

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チャン・ミンヒ(22)が放った最後の矢が9点に刺さり優勝が決まった瞬間、女子アーチェリー韓国代表選手たちは抱き合って歓呼した。観客席から彼女たちを応援した男子代表選手やコーチ陣、韓国のオリンピック関係者も手を叩いて祝福した。

異変はなかった。世界トップクラスの座を30年以上も守ってきた韓国女子アーチェリーが、またしても“金色の命中”に成功した。

世界ランキング1位のカン・チェヨン(25)をはじめ、チャン・ミンヒ、アン・サン(20)で構成された女子アーチェリー韓国代表は7月25日、夢の島公園アーチェリー場で行われた東京五輪アーチェリー女子団体の決勝で、ROC(ロシアオリンピック委員会)をセットポイント6-0で下し、見事金メダルを獲得した。

(写真=聯合ニュース)左からカン・チェヨン、チャン・ミンヒ、アン・サン

韓国アーチェリーは1988年ソウル五輪を皮切りに、オリンピック9連覇という前人未到の記録を達成した。

24日の混合団体で韓国勢第1号の金メダルを獲得したアーチェリーは、女子団体でも頂点に立ち、さらにもう1つ金メダルを手にした。

混合団体でキム・ジェドク(17)とともにメダルを獲得したアン・サンは、大会初の2冠も達成。アン・サンは来る30日に行われる女子個人で、韓国勢史上初となる3冠に挑戦する。

抜群のチームワークで他を寄せ付けず

盤石の強さを誇る韓国女子アーチェリーにライバルはいなかった。23日のランキングラウンド(予選)で五輪新記録の2032点を打ち立てた韓国は、全体トップで準々決勝に直行。準々決勝のイタリア戦をセットポイント6-0、準決勝のベラルーシ戦をセットポイント5-1とし、容易に決勝へと進出。決勝でもROCを寄せ付けることなく完勝を収めた。

軽快ながらも安定感のあったシュートは絶品だったが、試合中、お互いに親指を立てて「ファイト」と活力を吹き込むチームワークも光った。主将のカン・チェヨンは「オリンピックを準備しながら、お互いに褒め合って激励をしようと話した」とし、選手同士で心理的安定を助け合ったことを強調した。

試合でまったく表情の変化を見せないアン・サンも、「緊張をほぐすためにわざと私から笑ったりもした」と笑顔で語った。優勝を決定づける最後の矢を放ったチャン・ミンヒは、「正直、“早く終わらせよう”という考えだけで矢を放った」とし、「韓国アーチェリーが世界最強であることを証明できて光栄だ」と感激した様子を見せた。

アン・サンが明かす“名前の理由”

表彰台の最も高い場所に立った3人の選手は、韓国女子アーチェリーの強さの秘訣を「紙一重しかない(国内)選手間の競争」と口をそろえた。

韓国アーチェリーでは、過去の国際大会の成績などを考慮せず、ただ現時点でのパフォーマンスを重視する“徹底した原則主義”で有名だ。毎年新たに国家代表を選抜し、競争体制を構築している。

現世界1位のカン・チェヨンも、前回の2016年リオ五輪では選抜戦で3位と1点差の4位となり、惜しくも代表に選ばれなかった。それでも、忍耐と努力の末に東京の舞台に立ち、金メダルを手にしてみせた。「リオ五輪以降はスランプに陥っていたが、精神的にもっと強くなって準備した。(優勝の瞬間は)これまで準備してきたことが脳裏によぎった」とカン・チェヨンは話す。

来る女子個人で3冠に挑戦するアン・サンは、「本来の目標は団体金メダルだった。(2冠達成)で望みはすべてかなったと思う。個人戦は楽しみたい」と謙虚に語った。

また、“アン・サン”という独特な名前に関する質問が出ると、「安山(アンサン)には行ったことがない」と自身と同名の地域を口にし、「姉の名前は(アン・)ソル(松)、弟の名前は(アン・)キョル(風)だ。母が“松の山の風”という意味を込めて3姉弟に名前を付けた」と、名前の由来も明らかにした。

リオ五輪に続く“全種目制覇”に挑戦

韓国の現在進行形の女子アーチェリー神話は選手の努力だけではなく、チョン・ウィソン会長を中心とした韓国アーチェリー協会の綿密な“支援射撃”が功を奏したものだ。協会はこれまでの大会でも現地の気候や特性を予測し、事前準備にあらゆる努力を傾けた。

今大会でも東京に来る前、韓国の鎭川(チンチョン)国家代表選手村に夢の島公園アーチェリー場と似たセットを作り、選手がすでに東京に来たような雰囲気を感じながら練習できるようにした。チョン会長は多忙ななかでも東京を訪れ、現地で自ら選手たちを励ました。

韓国勢他種目の苦戦にも揺れることのなかった女子アーチェリー。選手の絶対的な自信と協会の手厚い支援が調和を成し、リオ五輪に続く“全種目制覇”の神話に挑む。

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