2021シーズンのトップリーグは3月27日、ホワイトカンファレンス第5節のリコーブラックラムズ対キヤノンイーグルスが秩父宮ラグビー場で行われ、28-31でキヤノンが勝利を収めた。
第2節のヤマハ発動機ジュビロ戦で勝利して以降、2連敗を喫していたリコーと、開幕3連敗から第4節のヤマハ発動機戦で今シーズン初勝利を挙げたキヤノン。1勝3敗同士で迎えた両チームの対決はまさに白熱した好ゲームとなった。
キヤノンのキックオフで始まった試合は前半から一進一退の攻防が続いた。前半7分、キヤノンがラインアウトからモールを押し込んで先制トライを奪うと、対するリコーは同13分、敵陣10メートル付近でのアタックからWTBネタニ・ヴァカヤリアが相手DFを振り切って右サイドを駆け、すぐさま同点に追いつく。そしてロスタイムには、SOアイザック・ルーカスのキックパスに反応したCTBロトアヘアアマナキ大洋のトライで逆転に成功。前半を14-7とリードして終えた。
後半も両者譲らぬ展開は変わらず。同14分にリコーがモールトライで点差を突き離したかと思えば、キヤノンも同19分、24分とトライを重ね、21-21の同点に迫った。ただ、同29分にはルーカスの個人技によるトライで、リコーが再びリードを奪った。
試合残り10分の状況で7点ビハインドのキヤノンに流れを引き寄せたのは、後半25分から途中出場していたWTBホセア・サウマキだった。キヤノンは同33分、FB橋野皓介が裏に転がしたボールをサウマキがグラウンディングしてトライ、田村のコンバージョンキック成功で同点に追いつくと、同39分にはサウマキが相手の反則を誘い、これで得たPG(ペナルティゴール)のチャンスをこちらも田村が着実に沈め、最終的にリコーが3点差で勝ち星を挙げた。
試合後、リコーの神鳥裕之監督は「今日は必ず勝ち切ろうと試合に臨んだが、最終的にスコアで上回れず悔しい思い出いっぱい。勝負所でのミスやゲームプランをしっかり守ることなど、学ぶことの多い試合だった」と敗因を語ると、ゲームキャプテンのSH山本昌太は「負けは負けなのでしっかり受け止めなければならない。大事な局面でチームのルールを守れなかったり、スタンダードを下回ったりするようなプレーが見られるので、改善していかなければならない」と今後の課題を口にした。
一方、勝利したキヤノンの沢木啓介監督は「前半は自分たちがやろうとしたプランができず、イライラした40分だった」と率直な思いを明かしつつも、「後半は(チームが)やろうとした姿勢が見えて良い結果につながった。こういう(接戦の)ゲームを勝ち切れるようになったのはチームとして成長していること」と選手を称えた。
また、「勝ち切れてホッとしている」と語った橋野は「去年までのイーグルスは接戦をモノにできずにいたが、今回こういうタフな試合を勝ち切ることができたことで、ステップアップを実感している」とコメント。途中出場から活躍を見せたサウマキは「ゲームプランを信じてやり続けたことが結果につながったと思う」と笑顔を見せた。
リーグ戦2試合を残して負け越しが決定したリコーは次戦、4月4日に同会場でここまで勝利なしのNECグリーンロケッツと対戦。キヤノンは同日、秋田県のソユースタジアムで1勝4敗の日野レッドドルフィンズと対戦する。
(文=姜 亨起)
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