韓国プロ野球のアメリカ人監督が「ビジターチームにも“選択権”が必要」と指摘したワケ

韓国プロ野球のKIAタイガース率いるマット・ウィリアムズ監督は、去る9月29日から10月4日まで続いたビジター6連戦を終え、「疲れた選手たちに選択権を与えられて幸いだ」と話した。

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初めてシーズンをフルで戦う選手が多いKIAは、大半の選手が疲労を訴えている状況にある。10月5日時点でKIAはレギュラーシーズン23試合を残しているが、万全でない状態で戦う1試合は、ダブルヘッダーをこなす以上の疲労蓄積をもたらす。

全10球団の監督が「シーズン日程が厳しすぎる。疲労が溜まれば負傷のリスクも高くなる。パフォーマンスのプラスにもならない」と口をそろえるのも、無関係な話ではない。

ウィリアムズ監督

韓国プロ野球が抱える“環境面”の問題

そんななか、メジャーリーグ(MLB)出身のウィリアムズ監督は韓国プロ野球の環境面について見解を述べた。

そもそも、MLBはレギュラーシーズンだけで162試合も消化しなければならない。レギュラーシーズンが144試合に過ぎない韓国プロ野球と比べ、移動距離や時差など、考慮しなければならない要素も一つや二つではない。

運営されるのは40人ロースターだが、主力の大半は25人ロースターに含まれた選手たちだ。体力の負担は韓国プロ野球と比べ物にならないほどに大きい。

それでも、MLBではシーズン後半に差し掛かっても、体力低下が目立つような選手は見当たらない。

ウィリアムズ監督は、韓国プロ野球とMLBの違いについて「(MLBは)ビジターチームにも“選択権”がある」というのを理由に挙げた。ビジターゲームの場合でも、練習や休息を選手自ら選択できる環境が整っているという意味だ。

これにはKIAのチェ・フィソプ打撃コーチも同意。「MLBの球場はホーム、ビジターどちらも同じ環境で練習できる要件が備わっている。ホテルでも、本人が望めばいつでもトレーニングができる」と述べた。

チェ・フィソプ打撃コーチ(右)

ウィリアムズ監督が強調した“選択権”とは、「時間にとらわれず、各々が自身のルーティンに沿って試合準備をできる環境」を意味する。

韓国プロ野球では、基本的にビジターチームの練習スペースは設けられていない。試合前にグラウンドで行うチーム練習がすべてだ。過去には遠征先の宿の近くにある学校の運動場を借り、トレーニングを行った球団もあったようだが、今はそうした光景も見られない。

ウィリアムズ監督は、「体力が落ちたとき、追加練習で力を蓄える者もいれば、完全に休息を取る選手もいる。それぞれにルーティンがあると思うが、重要なのは選手が望めばいつでも練習をできるという点」と強調した。長期レースを戦うにあたり、練習スケジュールを自らコントロールすることが、重要なポイントになるということだ。

ただ、極めて常識的な話ではありながら、韓国プロ野球の球場環境はその常識から外れてしまっている。

10球団すべてが選手のコンディショニングに死活をかけているというが、それもホームゲームが限界だ。さらに、球場施設や環境面については、球団が統制できない部分であることも懸念すべきである。「球場は試合さえできればいい」という認識が根強く刻まれてしまったことも大きい。

選手の頻繁な負傷と低いパフォーマンスを厳しいシーズン日程の影響とするのならば、球場環境をどう改善すべきか意見をまとめ、地方自治体に要求することを急ぐべきだ。ビジターチームにも、個々人のルーティンを守る義務がある。

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