「韓国の太和江(テファガン)でも水泳大会があるのに、パリのセーヌ川はダメなのか?」
現在行われているパリ五輪では、開会式の舞台でもあるセーヌ川で、トライアスロンのスイムとマラソンスイミングの2種目が行われる。
パリ市はセーヌ川の水質改善のため、約15億ユーロ(日本円=約2502億円)もの大金をつぎ込んだ。韓国ウォンにして約2兆2715億ウォンだ。
ところが、大会が迫っても安全面で確信が持てず、計画に疑問符がついた。そんななか、セーヌ川の水質汚染は再び悪化した。
パリ五輪組織委員会は7月30日(日本時間)、同日に実施予定だったトライアスロン男子を31日に延期することを発表した。
スイム会場のセーヌ川が水質検査で基準値を満たすことができず、選手の健康を保障できないという理由からだ。
この部分で、韓国有数の工業都市で知られる蔚山(ウルサン)の太和江のことが思い浮かんだ。
蔚山は1962年に特定工業地区に指定された後、“産業化”の象徴として成長してきた。
その一方で、工業化や都市化の過程における環境への無関心によって、「蔚山=公害都市」という汚名を得た。太和江も、急激な水質汚染によって「死の川」と呼ばれた。
しかし、今は違う。「漢江の奇跡」ならぬ「太和江の奇跡」が起きた。
黒い川の水と悪臭で苦しんだ太和江の水質を改善するための汎市民的活動が続き、ついに生態系が復活した。今や「生態環境の宝庫」となり、国家庭園にまで変貌した。
これもすべて、2000年代初めから官民一体で水質改善に努力を重ねてきた結果だ。
実際、2016年の太和江の生化学的酸素要求量(BOD)は1.2mg/Lで給水基準を満たした。
水質が改善されたことで、太和江では毎年、全国規模の水泳やカヌー、ボート大会などが開催されている。2005年の「第1回太和江水泳大会」を皮切りに、現在も「蔚山太和江国家庭園十里水泳大会」などが活発に行われている。
パリは工業都市ではなく、世界でも指折りの文化芸術の中心地だ。
五輪に先立ち、パリ市はセーヌ川の水質改善のために約15億ユーロを投じたというが、期待した成果は出ていない。
そもそも、金だけで済む問題ではない。たゆまぬ努力と関心がなければならない。
蔚山市が2002年から2012年まで、太和江の水質改善のために投資した予算は約5850億ウォン(約653億円)だ。パリ市がセーヌ川に注ぎ込んだ予算の4分の1程度に過ぎない。
しかし結局、蔚山は水質改善をやり遂げ、パリはできなかった。
すぐにセーヌ川の水質が基準値を満たせなければトライアスロンの競技は開催できない。世界的な恥さらしになるしかない。
パリ五輪音の開会式はセーヌ川で披露した。それだけ、セーヌ川に対するフランス人の自負心がとてつもないことがわかった。ただ、競技の側面で見れば、「入水できない」と言うのが大きな問題だ。
であれば、五輪を準備を行う数年前から、パリ市が韓国の工業都市・蔚山をベンチマーキングしていれば、セーヌ川の未来も多少変わっていたのではないだろうか。
ただ単純に大金を投資するのではなく、しっかりとした努力を通じて、「セーヌ川の奇跡」とともにパリの未来に向けた道しるべを立て直さなければならない。
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