日韓スピードスケート女子の“レジェンド”が、6年前と同じ場所で再会した。イ・サンファ氏と小平奈緒氏のことだ。
2人は五輪スピードスケート王者だ。イ・サンファ氏は500mで金2枚と銀1枚を獲得し、小平氏は500mで金メダル、1000mとチームパシュートで銀メダルを獲得した。特に小平氏は女子500m五輪新記録保持者でもある。
イ・サンファ氏と小平氏の友情は特別だ。国境を越え、長きにわたり善意の競争を繰り広げてきた。
2人は幼い頃から現在に至るまで、度々互いに家に遊びに行き、友情を保っている。
ただ、この日の出会いはいつも以上に格別だった。2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪当時、世界中を感動の渦に巻き込んだ名場面を生み出した場所だからだ。
当時、小平氏は五輪新記録を打ち立てるなど圧倒的なレースを展開した。日本の観衆は彼女のレースに大きく歓呼したが、小平氏は次の試合を行うイ・サンファ氏のために「静かにしてほしい」という信号を送るなど、友人でありライバルのイ・サンファ氏を配慮する姿を見せた。
そんな配慮のなかでレースを戦ったイ・サンファ氏だが、小平氏の記録にはやや及ばなかった。それでも、貴重な銀メダルを獲得した。
レース後、イ・サンファ氏が悔しさの滲む涙を流すと、小平氏がそばに近づいて暖かく抱擁した。この光景こそ、競争を超越した2人の友情が輝いた瞬間だった。
それから6年が経った2024年1月22日、江原(カンウォン)で開催されている冬季ユース五輪のスピードスケート競技を見るため、イ・サンファ氏と小平氏がスピードスケート競技場の江陵(カンヌン)オーバルを訪れた。
韓国の地で再会する2人を取材するため、韓国国内はもちろん日本からも多くの報道陣が駆け付けた。2人は会うやいなや熱い抱擁を交わし、嬉しそうに挨拶をした後、夢中でおしゃべりをした。
イ・サンファ氏は「ここオーバルに到着してから、試合を準備するという気持ちで歩いてきました。泣きそうな気持もありました。それでも、ナオを見るたびに毎回泣いてしまうので、今日は感情を抑えています。泣かないようにしています」と笑顔で語った。
また、「複合的な感情があります。気分が新しく、まるで選手時代に戻ったみたいです」と付け加えた。
小平氏も、「2018年のオリンピック以降、一緒に協議をする機会はありませんでしたが、今回ここで再会して一緒に立っていると、競技をする気分になります」とほほ笑んだ。
2人の抱擁は和合のメッセージであり、まさに五輪精神だった。小平氏は「相手がいなければ試合はできません。お互いに尊重して学んでいってほしいです。相手に対する尊重を忘れないでほしい」と強調した。
イ・サンファ氏も最後に、「ユース五輪を通じて、若い選手たちがたくさん経験を積んでほしいです。自分自身、幼いときのこのような大会があったらどうだったのかな、とよく考えることがあります。今の若い選手たちにとって大きな助けになっているでしょう」と伝えた。
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