ヤン・ヒョンジョンが“エース”の名に恥じない活躍で、韓国に貴重なスーパーラウンド初戦勝利をもたらした。
11月11日に東京ドームで行われたプレミア12スーパーラウンド初戦、アメリカとの試合でヤン・ヒョンジョンは先発登板し、5.2イニング投げ10被安打、7奪三振、1失点の力投で韓国の5-1の勝利に貢献した。
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簡単な試合ではなかった。プレミア12予選ラウンドを通じて参加した12カ国中“最強の巨砲軍団”として猛打を振るったアメリカが、韓国のエース相手に豪快ながらも精巧なバッティングで襲い掛かった。
守備の失策や“疑惑の判定”も重なり、ヤン・ヒョンジョンへの負担はさらに大きかった。今大会初めてホームランも浴びた。6回でマウンドを降りることになったが、自身に課された三重苦を正面から突破し、アメリカ打線を効率よく抑えた。
ヤン・ヒョンジョンはソウルで行われた予選ラウンドで、初戦のオーストラリア戦(6イニング無失点)以降、今大会2度目の先発登板を無事に乗り切った。
代表チームでの立場やコンディションを考慮しても、ヤン・ヒョンジョンがアメリカ戦で先発登板することはほぼ決まっていた。韓国プロ野球終了直後に今大会が開幕し、投手陣はコンディションを100%に維持することが難しい状況にいた。
それでもヤン・ヒョンジョンはオーストラリア戦で6イニングを消化し、シーズン時と変わらぬピッチングを披露した。
韓国を率いるキム・ギョンムン監督も「どのチームも継投する投手ローテーションを敷いている。その中でヒョンジョンが6イニングを消化してくれたことは誇らしいことだ」と彼をほめたたえた。
4年前の第1回大会では韓国が決勝戦でアメリカを8-0で圧倒し、見事初代王者に輝いた。今大会ではスーパーラウンド初戦で相まみえることになったが、試合は決勝戦にも劣らない重圧があった。
大会連覇と2020東京五輪本戦出場がかかる韓国にとって、初戦を勝利する意義はとても大きい。それほど、ヤン・ヒョンジョンが背負う責任も重くなる。
その重圧とアメリカの徹底した対策によって、ヤン・ヒョンジョンに毎イニングで苦難が迫った。マウンドを降りるまで3回以外に三者凡退の場面はなく、アメリカ打線はヤン・ヒョンジョンの投げる変化の多彩なピッチングを我慢強く見極めた。
予選ラウンドよりも狭まったストライクゾーンも、ヤン・ヒョンジョンを苦しめた。洗練された制球でゾーンの隅を突くピッチングをしたものの、嶋田哲也球審の手が上がることはなかった。3回の韓国の攻撃でキム・ハソンが微妙な判定でアウトになったことも、ヤン・ヒョンジョンには負担となった。
それでも、幾多の困難を経験してきたヤン・ヒョンジョンは今回の難局をも乗り越えてみせた。
捕手ヤン・ウィジのリードと自身のピッチングを信じ、圧力に屈することなくアメリカ打線を抑えていった。初回から全力投球をしたために中盤以降は球速も落ちていったが、チェンジアップやスライダーなどの変化球を織り交ぜ、危機を乗り越えた。
そして、6回表2死1、3塁の状況でヤン・ヒョンジョンはイ・ヨンハにボールを渡し、マウンドを降りた。韓国ファンは素晴らしい投球を見せた先発投手に大歓声を送り、ヤン・ヒョンジョンの名を連呼した。イ・ヨンハが三振でイニングを終えると、ベンチに戻ったヤン・ヒョンジョンも喜びを見せた。
韓国が決勝戦に進出すれば、日程上ヤン・ヒョンジョンが決勝戦で先発登板する可能性が高い。予選ラウンドで10本ものホームランを放ったアメリカ強力打線をわずか1点に抑えたのは、チームにとって大きな成果だ。
アメリカ戦の経験がヤン・ヒョンジョンの自信を引き出し、決勝戦のマウンドに立つ活力となるだろう。
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