サッカー韓国代表を率いるパウロ・ベント監督は9月30日、10月のAマッチ招集メンバー25人を発表した。
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韓国は10月10日、京畿道・華城(ファソン)でスリランカとカタールW杯アジア2次予選・第2戦を行い、15日に平壌で北朝鮮と戦う。
ソウルのサッカー会館で記者会見を行ったベント監督は、「移動や芝生など、現地の環境に適応すべくさまざまな案を模索している」と、平壌での試合に向けて準備を進めていると述べた。
続けて「私は韓国人ではないが、韓国の国民たちがどんな感情を抱いているかを理解しようと努力している」と南北戦に対する韓国人の心境を理解する反面、「重要なことは試合に最大限集中し、勝ち点を得ることだ」と、監督として結果を追求する考えを明かした。
以下、ベント監督との一問一答。
◇
―イ・ジェイクを招集した背景は?
過去にも、どのような基準で代表メンバーを選ぶか話をした。イ・ジェイクの場合、世代別代表、特にU-20ワールドカップでの活躍が印象的だった。それ以外にも所属チームでのプレーもよく見ている。そこで、代表チームのトレーニングでどんな姿を見せてくれるかを確認してみたかった。
今回は、すでに何度か招集経験のあるセンターバック4人にイ・ジェイクを加え、どれだけ食い込めるか見てみたい。ポジション争いは激しい。出場機会を保証できるとはいえない。
―平壌への移動時期が未定だ。大観衆や芝生など対応すべき点も多いが。
南北戦の前にはスリランカ戦が控えている。スリランカ相手に良い試合ができれば、次の試合も上手くできるだろう。移動や芝生など、現地の環境に対応すべくさまざまな案を模索している。招集後、1試合目を上手く行った後に、あらゆる面を考慮し決定を下す。
私個人の考えだが、選手たちならば満員の観衆を前に試合をしたいと思うだろう。負担になるといって、観客のいないスタジアムで試合をしてもモチベーションにはならない。プレーする選手を観に来るのだから、モチベーションも上がって良いプレーを見せてくれるきっかけとなるはずだ。
―ナム・テヒが久しぶりの代表復帰となったが。
誰かに代えて、他の選手を呼ぶということはしていない。毎回の招集のときに、2試合を戦える最適なメンバーを選んでいる。ナム・テヒをキム・ボギョンの代わりに招集したわけではない。
―トルクメニスタン戦で露わになった課題をどう克服するか。
常により良いプレーを見せたいというのが、私たちのチームスタイルだ。トルクメニスタン戦は全体的に悪くなかった。前半はじまってからの30分間は、素晴らしいプレーを見せてくれた。それを継続できなかったことは、監督の私に責任がある。
後半にはピンチも何度かあり、前半30分までのようなキレが失われていたのも事実だ。前半30分までの内に得点ができていれば、また違う展開となっただろう。そのような点を考慮し、準備を進めなければならない。
―北朝鮮代表の評価は?
北朝鮮との試合だけがあるわけではない。スリランカも同様に分析を進めている。スリランカと北朝鮮は、これまでのチームとは違った色を持つ。この点を考慮し、私たちはどう戦うべきかを考えなければならない。
とりあえず、1試合目をしっかりと終えられた後に、南北戦に向けた準備を進めたい。
―イ・ガンインの活躍をどう見ているか。
イ・ガンインは他の海外リーグ、特に欧州でプレーする選手と同じように、強い関心を持って見ている。イ・ガンインが持つ能力の高さは皆が知っているはずだ。とてもテクニックに優れ、可能性も計り知れない。
一方、守備面は補完する必要がある。10月にどれだけ機会を得られるか、検討してみよう。どのポジションで起用するかも考える必要がある。
―ファン・インボムを継続して招集している理由は?
その理由を言おうとすると、あまりに時間がかかってしまう。1つ挙げるのであれば、ファン・インボムはオールラウンドのミットフィールダーだ。MFが持つべき能力をすべて兼ね備えており、試合で起こり得るあらゆる瞬間への対応を理解している。攻守の転換などといったさまざまな状況においての役割も理解している。
ポジションごとに戦術的な変化を加えるとき、他のポジションでも起用できる選手だ。守備的MFとしても良く走り、どんなポジションでも走れる。だからといって毎試合の出場を保証するわけではない。優れた選手も多く、ポジション争いは激しいだろう。
―外国人として、平壌で臨む南北戦に対してどんな感情を抱いているか。
監督としての私の役目は、選手たちが最大限試合に集中できるよう助けることだ。今回も2試合を控え、勝ち点6を得るためにどう準備すべきか考えている。
一方で、私は韓国人ではないが、国民がどんな感情を抱いているかを理解しようと努力している。しかし、やはり重要なのは試合に集中して勝ち点を得ることだ。
試合中にはさまざまなことが起き得るが、その中にはコントロールできるのもあれば、そうでないものもある。あまりに神経を使ったり、ストレス受けたりしてしまうようなことには無駄にエネルギーを使いたくない。コントロールできることのみに努力している。
―ナム・テヒが久しぶりに代表復帰したが、チームにどんな違いをもたらすか。
ナム・テヒが怪我でしばらく代表に呼べなかったことは、残念だった。今年1月のアジアカップでも招集できず、惜しい部分も多い。この選手は飛び抜けて優れた技術を持っており、中央からトップ下までさまざまなポジションで良いプレーができる。
4-3-3なら中央のMFとして起用もできるし、サイドで起用して中に切り込むプレーも得意だ。大きな強みを持っているだけに、多くのものをチームにもたらしてくれる。久しぶりの代表復帰とはなるが、大きな問題はないだろう。
―ファン・ウィジョは所属チームで、サイドで起用されているが、そこに対して懸念は?
新しいチームに移籍すれば、新しい環境に適応しなければならない。移籍先で、代表チームとは異なるポジションでプレーすることは、ファン・ウィジョ自身の成長にも助けになるだろう。彼のキャリアにとっても、優れた選手へと発展するきっかけになるはずだ。
所属チームでどのような姿を見せたとしても、私たちの計画においてはワントップやツートップの最前線で起用するだろう。
―相手の密集した守備に苦戦した印象があるが、引いた守備に対して効果的な策はあるのか。キム・シンウクを積極的に生かすプランは?
毎試合、さまざまな状況で判断は変わるだろう。トルクメニスタン戦は前半30分までは良かった。試合を決定づける機会もあったし、そこで決めきるべきだった。だが、後半に入ってから前半よりも鋭いプレーを見せることができなかった。サイドにスペースが多かったにもかかわらず、中央突破を試みてしまい、難しさがあった。
相手によって、いろいろな方法を考えなければならない。キム・シンウクには多くの可能性があると私は思うので、招集後に考慮し、どのように生かすかを決定したい。
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