ベスト8脱落も手痛いが、“アジアの強豪”を自称するには、あまりにみすぼらしいパフォーマンスを見せたことが問題だ。
アジアカップを通じて韓国が失ったものは大きい。59年ぶりの優勝トロフィー獲得に失敗しただけでなく、アジアにおける韓国の立ち位置まで喪失したことが致命的である。
韓国はこれまで、自他共に認める“アジアの強豪”だった。日本やイラン、オーストラリアなどとともに、他のアジアチームを脅かす存在だった。
しかし今回のアジアカップでは、その姿を見せることはなかった。フィリピンやキルギス、バーレーンのような一枚下のチームと対戦したが、一度も圧倒することはなかった。パウロ・ベント監督が構想したベスト11で試合に臨んだが、アジアカップで韓国の完勝を見ることはできなかった。
韓国は昨年、コスタリカ、チリ、ウルグアイを相手に高いパフォーマンスを見せた。ウズベキスタンやオーストラリアなどアジアの強豪との試合内容も悪くなかった。ベント監督が追求する、短いパスを通したビルドアップサッカーの可能性を見せてくれた。
それらのチームの共通点は、ラインを下げて守備的に試合を行うのではなく、正面からぶつかり合うチームだったという点だ。
一方、今回のアジアカップでは、守備に集中するチームを攻略することができなかった。毎試合、同じ課題を繰り返した。試合の主導権は握ったが、前進パスに比べてバックパス、横ペスが主だった。狭いスペースを攻略する能力が不足していた。だからといって、これまで韓国が多用していた長身FWを使うこともなかった。
相次いだアジアカップの苦戦は、カタールW杯アジア予選を不安にさせる。
ベント監督が就任して6カ月しか経っていないことも考慮すべきだが、赴任直後に行ったAマッチよりもパフォーマンスが落ちている点は、示唆するところが大きい。
今回のアジアカップが、今後韓国と対戦する相手チームにとって、大きな学習になったことは明らかだ。