“雄牛”ファン・ヒチャン(24・RBライプツィヒ)がドイツで送る日々は、人生が往々にして容易くないことを暗示しているようだ。
今シーズン、ファン・ヒチャンは気合たっぷりでシーズン開幕を迎えた。しかし、序盤から様々なアクシデントに苛まれている。
ファン・ヒチャンはライプツィヒデビューとなったDFBポカール1回戦で1ゴール1アシストと活躍したが、続くリーグ戦では沈黙した。リーグ戦2試合に出場したが、両試合とも途中出場だったし、10月4日に行われたシャルケ04とのドイツ・ブンデスリーガ第3節では、臀部の軽傷が発覚し、ベンチ入りはしたが出場することはなかった。
新型コロナウイルスの影響で、思うようなプレシーズンを過ごせなかった彼にとって苦しい状況だ。ファン・ヒチャンはこれまで出場した3試合を見る限り、ほかの選手との呼吸がまだ合っていないように見受けられた。
また、今季のライプツィヒはストライカー補強に注力した。
ライプツィヒは10月6日(日本時間)、ジャスティン・クライファート(21)を1年間の期限付きで獲得したと発表した。彼はオランダの伝説、パトリック・クライファートの息子で、オランダ・エールディビジの名門アヤックスを経て、2018年からイタリア・セリエAのASローマに所属していた。
大柄なセンターフォワードだった父親とは違い、小回りが利き、スピード豊かなドリブルを武器にサイドを主戦場としている。そのためポジションやプレースタイルがファン・ヒチャンと被ることとなる。
ジャスティンは昨シーズンのセリエAでリーグ戦22試合4ゴール1アシストを記録し、今シーズンは2試合に出場していた。
またライプツィヒはジャスティンのみならず、9月に194㎝の長身を誇るノルウェー人FW、アレキクサンダー・ソーロート(24)の加入を発表したばかりだった。ソーロートは昨シーズンのトルコリーグ得点王だ。
ライプツィヒの今季の課題は、昨シーズン計38ゴールを叩き出したデュオ、ティモ・ヴェルナー(現チェルシー)とパトリック・シック(現レバークーゼン)の穴を埋めることである。ユリアン・ナーゲルスマン監督は「彼らの穴を埋めるのは容易なことではない」と述べている。
欧州サッカー連盟(UEFA)チャンピオンズリーグの試合も控えるライプツィヒが、多様なオフェンスパターンを必要としているのは事実だ。しかし、現時点で適応段階のファン・ヒチャンにとって、アタッカーの新加入は手放しで喜べないだろう。
ジャスティン・クライファート、アレキクサンダー・ソーロート以外にも、バルセロナ下部組織出身のダニ・オルモ、長身FWユスフ・ポウルセン、スウェーデン代表で10番を背負うエミール・フォルスベリといった既存戦力が、シーズン序盤のライプツィヒ攻撃陣を牽引している。
現在リーグ戦3試合で2勝1分とチーム成績も悪くない。チームへの適応、熾烈なポジション争いなど、ファン・ヒチャンのライプツィヒでの生活は前途多難だ。
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